熟年離婚のほうが得?自営業にはない?年金分割とは何か

年金分割制度は、一方の配偶者の婚姻期間中における年金保険料の納付実績の一部を分割し、それを離婚後に他方の配偶者が受け取れるという制度です。

年金分割制度は、例えば夫が会社員として働いて収入を得て、妻が専業主婦として家事を行っていた場合、年金保険料の支払いには夫婦双方が貢献したはずであるのに、離婚後には夫のみが厚生年金を全額受給できることは不公平であるため、妻が年金保険料の支払いに貢献した以上、妻の年金の受領金額に保険料納付の実績を反映させることが公平であることから、平成16年に導入されました(国民年金法の一部を改正する法律)。

年金分割の対象

日本における公的年金制度は3階建てであるといわれています。

1階部分は国民の基礎年金である「国民年金」、2階部分は「厚生年金・共済年金」、3階部分は「国民年金基金・企業年金」です。

年金分割の制度は、これらのうち、厚生年金・共済年金の部分のみが対象となっています。

したがって、夫が自営業者や自由業、農業従事者などの場合には、そもそも年金分割の制度を利用できません。

分割の対象期間

年金分割となるのは、婚姻期間中における年金保険料の納付実績が分割されます。

そのため結婚前に納められた厚生年金や共済年金の納付実績は分割の対象となりません。

例えば、夫が22歳で会社員になり30歳で結婚したものの45歳で離婚した場合では、年金分割が行われるのは30歳から45歳の期間の分となり、結婚前の期間と離婚後の期間は含まれません。

また、年金分割は、婚姻生活中に積み立てられた保険料の納付実績に基づいて、年金の分割を受ける制度です。

したがって、夫が将来受け取る予定の年金金額の半分を妻が受け取れるようになる制度ではありません。

年金を受け取れる年齢

年金分割をして得られる年金は、本人が年金を受け取るとき(原則65歳)に上乗せされる形で支払われます。

つまり、離婚したらすぐにもらえるわけではありません。

また、年金受給資格期間(現在は25年。後々10年に短縮される予定)を本人が満たしていない場合は年金自体がもらえません。

年金分割の種類

年金分割には「合意分割制度」と「3号分割制度」があります。

合意分割 3号分割
離婚日 平成19年4月1日以降 平成20年4月1日以降
夫婦間の合意 按分割合(分割することおよび分割割合)について必要。

合意ができないときは裁判に分割割合を決定してもらう。

不要
分割対象期間 婚姻期間(平成19年4月1日以前も含む) 平成20年4月1日以降の婚姻期間のうち、第3号被保険者であった期間
分割割合 2分の1が上限 2分の1
請求期限 原則として、離婚日の翌日から2年以内 原則として、離婚日の翌日の2年以内
対象者 第3号被保険者だけでなく、第1号被保険者、第2号被保険者でも可能 第3号被保険者(第2号被保険者の被扶養配偶者であって、20才以上60才未満の者)のみ

合意分割と3号分割の関係

平成20年4月1日以降の期間は、合意分割と3号分割のどちらの対象にもあり得ます。

その場合はどちらかの制度の利用を申請すれば、もう一方の制度も申請したこととなります。

そのため、どちらの制度を利用すると得するのかなどと悩む必要はないのです。

3号分割では平成20年4月1日以降しか分割対象にならないので、それ以前の期間の年金分割が利用できる場合は、合意分割を申請します。

その場合でも、平成20年4月1日以降は3号分割扱いとなり、2分の1の分割割合に決定します。

分割割合の相場

司法統計を見ると、年金分割の分割割合を定めた調停では、ほとんどのケースで2分の1と定めています。

2分の1は合意分割の上限であり、3号分割の割合でもあります。

基本的には年金分割は2分の1で分割するものだと考えてよいでしょう。

年金分割の手続き方法

合意分割の手続き

合意分割の場合には、夫婦間で話し合う前に、まずは分割できる年金の範囲や対象の期間などを知る必要があります。

それらの必要な情報は全国各地にある年金事務所へ請求することで取得できます。

年金事務所からの情報を受け取った後にようやく夫婦間で話し合います。

以下ではその具体的な方法を説明します。

年金に関する必要情報を取得する

年金事務所へ情報の開示を請求するために、下記の必要書類を提出することで3~4週間後に請求者の年金に関する通知書が郵送されます。

  • 情報提供請求書
  • 請求者の年金手帳または基礎年金番号通知書
  • 婚姻期間等を証明できる戸籍の謄本または市町村長の証明書

情報提供請求書は年金事務所に備え付けられています。

分割割合を決める

年金事務所から郵送された通知書に記載されている情報を基に、夫婦間で分割割合を話し合います。

もし話し合いで決まらなければ家庭裁判所に調停を申し立てることができます。

調停では調停委員に対してを自身の言い分を主張し、調停委員が妥当な分割割合を提示します。

その割合に納得できない場合は、裁判所の審判によって分割割合が決定されます。

分割割合を年金事務所に申請

話し合いで合意した場合、夫婦双方もしくはその代理人が、合意内容を記載した書類を年金事務所に提出します。

調停や審判の場合は、一方が必要書類を年金事務所に提出します。

3号分割の手続き

3号分割についての手続きの場合は、第3号被保険者が下記の必要書類を年金事務所に申請することで強制的に分割割合が2分の1になります。

  • 請求者の年金手帳または基礎年金番号通知書
  • 婚姻期間等を証明できる戸籍の謄本または市町村長の証明書

請求の期限

年金分割には請求期限があるので注意が必要です。

年金分割の種類に関わらず、原則として、離婚が成立した日の翌日から2年以内に請求しなければなりません。

ただし、2年以内に調停を申し立てた場合などは、調停が成立した時点で2年を過ぎていたとしても請求が認められます。

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