離婚調停に弁護士は必要か

先日、皆様からの「知りたい」を募集したところ、

「離婚調停をするときに弁護士を付けた方がいいですか」

との質問を受けました。

私なりの考えを回答します。

弁護士に依頼した場合のデメリット

離婚調停を弁護士に依頼した場合のデメリットは、いうまでもなく「費用がかかる」ということです。

弁護士にもよると思いますが、最低でも10万円(税別)は覚悟した方がよいでしょう。

他方で、弁護士に依頼せず、調停前や調停が続いている間にその都度弁護士に相談して、調停自体はご自身のみで出席するということも考えられます。

その場合、例えば無料相談を受け付けている弁護士や相談センターなどを利用していただければ、費用は「0円」ですむことになります。

仮に30分で5000円の相談料が必要となったとしても、法律相談は20回(10時間分)が可能ということになりますが、調停が続いている間に法律相談を20日も受けることはないと思われます。

したがって、弁護士費用がかかるというデメリット自体は、(無料)法律相談を利用することで回避することは可能ということになります。

弁護士に依頼した場合のメリット

では、弁護士に依頼した場合のメリットは何でしょうか。

調停委員の対応が異なる

まず、弁護士が同席している場合と同席していない場合とでは調停委員の対応が異なるそうです。

すべての調停委員がそうであるというわけではありませんが、中には当事者の話をまともに聞いてくれなかったり、調停委員の考えや意見を押し付けてきたり、中にはあたかも調停委員がすべてを決定することができるかのような言動を取られる方もいらっしゃいます。

そのような調停委員の言動に不安を感じて弁護士に依頼し、弁護士同席のうえで調停に出席すると、調停委員の口調が明らかに変わり、同席している弁護士に相当気を使っていることがわかるそうです。

感情論ではなく法律的な主張になる

次に、当事者の主張が単なる感情論に終わらずに、法律的な主張に代わるという効果があります。

離婚の場合、当事者の感情的なもつれが原因となっていることが多々あります。その感情的なもつれをそのまま感情的に述べたとしても、調停委員は一応話を聞くものの、そのまま聞き流してしまいます。

しかし、弁護士は感情論をそのまま調停で述べることはありません。

当事者の感情的な話を法律的に解釈して主張することで、調停委員の理解を求めることができます。

意思に沿った調停調書を作成できる

また、私がご相談を受ける中で最も問題であると考えているのが、弁護士が同席しないまま調停が成立した場合に作成される「調停調書」に当事者の主張が盛り込まれていないということがあります。

実は、この点が弁護士に離婚調停を依頼することの最大のメリットだと考えています。

離婚調停で決まったことをまとめた書面が「調停調書」というものなのですが、そこに書かれている内容は判決と同様に強い効力が認められています。

その最たるものが、養育費や財産分与・慰謝料などの金銭の支払いをしなかった場合に、給料の差押えなどの強制執行ができるという効力です。

ところが、単に金銭の支払いを約束するだけでは、強制執行ができないというケースがあります。

例えば、養育費を月々3万円ずつ支払うことについては合意できたものの、その金額だけでは足りないということもあるため、ボーナス月に一定額を増額して支払ってもらうということで合意していたものの、ボーナスが支給されたにもかかわらず養育費の増額分が支払われなかったとします。

この場合、「毎年の夏・冬のボーナスが出た場合には、その1割に相当する金額を支払うことを約束する。」という文言にしていた場合には、仮にボーナスが支給されていたとしても、そこから養育費の未払いがあったものとして強制執行することはできません。

もし将来的に強制執行をすることを念頭に置いておくならば、「毎月の養育費のほかに、7月および12月については各5万円を追加して支払う」などというように金額を明示したうえで「支払う」と断定する必要があります。

また、配偶者の親から借金をしていて、その借金の支払いの代わりに配偶者に対して解決金名目で返済することにしていたとしても、調停調書では「甲は乙に対して解決金として〇〇円を支払う」としか記載されていませんので、法律上は配偶者の親から借金の返済を求められた場合でもこれに応じなければならないおそれがあります。

このように、調停調書は後日の紛争が発生しないように作成されなければならないのですが、調停委員や家庭裁判所はこのような点について配慮してくれません。

調停委員の中には、「早く調停を終わらせたい」という考えの方もいらっしゃいます。

そのため「これが当たり前」といわんばかりに調停調書の内容を告げ、そのまま調停を成立させてしまうことがあるのです。

後日紛争が発生したとしてご相談を受ける際に調停調書を確認させてもらうのですが、中には「なぜこのような調停調書にしたのか」と疑問を感じることも少なくありません。

この点、弁護士が同席している場合には、将来的な紛争を回避できるような内容にするための主張や確認をすることになりますので、このような問題は発生しないことになります。

最後に

離婚調停を弁護士に依頼したいと考えたもののお金がないので依頼できないという方も当然いらっしゃいます。

その場合でも、弁護士の費用を分割払いにすることや法テラスの援助を求めるなどの方法もあります。

「弁護士の費用がかかるから」という理由だけで弁護士に依頼しないということは、できることなら避けていただいた方がよいと思います。

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