遺産はどのようにして分けるのか

各相続人の具体的相続分を算定した後、その割合に応じて遺産分割の対象財産を分割することになります。

その方法としては、以下の4つの方法があります。

現物分割

意義

現物分割とは、個々の財産の形状や性質を変更することなく分割するものです。

遺産分割は、その性質上できる限り現物を相続人に受け継がせるのが望ましいことから遺産分割の原則的方法といえます。

土地の現物分割

地積測量と地積測量図の作成

土地または建物の一部を分筆、区分して取得する旨の合意が成立した場合には、その登記手続の際に、土地については地積測量図、建物については建物図面および各階平面図を添付しなければなりませんので、前記図面を別紙として調停調書に添付し、調停条項においてその取得部分を特定する必要があります。

地積測量図には、方位、地番、隣地の地番ならびに地積、求積の方法および境界標等を記載する必要があるので必ず地積測量を行う必要があります。

建築関係法令の関係

路地状敷地等につき建築基準法、建築安全条例、建築基準法施行条例等の確認も必要です。

借地権の現物分割

遺産である借地権を一人の相続人が単独取得するのに、土地所有者の承諾は不要です。

しかし、借地権を区分して、複数の相続人に、それぞれ格別に借地権を取得させる分割をするには、地主の承諾が必要です。

調停の実務では、借地権を区分する場合、地主の承諾の事実を確認しています。

上場株式の現物分割

いわゆる単位株制度の適用のある株式を分割する場合、新たに単位未満株式を生じさせる現物分割を命じることはできません。

非上場株式の分割

同族会社の非上場株式を分割する場合、分割取得した者が当該会社の経営権を承継することになり、会社の経営権が分割方法に絡んで調停の対象となります。

しかし、実務では、同族会社の経営権をめぐる問題は、遺産分割とは別個の問題として扱っています。

動産の分割

動産を取得する者が現実の占有者と異なるときは、その引き渡しを合わせて取り決めることになります。

自動車等、法律により登録が義務付けられている物については、不動産と同様、所有権の移転登記手続についても明確にすることが相当です。

現金の分割

現金を取得する者が現実の占有者と異なるとき、現物の引き渡しをすることは特定が困難であることから、引き渡しに代えて同額を支払う者の債務負担とすることが多いといえます。

代償分割

意義

代償分割とは、一部の相続人に法定相続分を超える額の財産を取得させたうえ、他の相続人に対する債務を負担させる方法です。

「特別の事由」があると認められるときに、共同相続人の一人または数人に他の共同相続人に対し債務を負担させて、現物分割に代えることができます。

代償分割が認められる「特別の事由」

  • 現物分割が不可能な場合
  • 現物分割をすると分割後の財産の経済的価値を著しく損なうため不適当である場合
  • 特定の遺産に対する特定の相続人の占有、利用状態を特に保護する必要がある場合
  • 共同相続人間に代償金支払いの方法によることについて、おおむね争いがない場合

要件

債務を負担することになる相続人にその資力があることが要件となります。

支払能力について審理されていない審判は差し戻されます。

代償金の支払方法

代償金の支払いは、公平の観点から即時になされることが原則ですが、事情によっては分割払いないし期限の猶予も可能とされています。

換価分割

意義

換価分割とは、遺産を売却等で換金(換価処分)した後に、価格を分配する方法です。

協議分割による換価(当事者の合意に基づく任意売却)

現物分割が困難で、代償金支払い能力の不足や取得希望者がいない等の理由で代償分割もできない場合に、当事者の合意に基づき、換価代金を分割対象財産とすることを前提として、第三者に売却し、その代金を分配する方法です。

審判における換価

遺産競売を命じ、民事執行の手続に従って競売手続きが進められます。

遺産の全部を競売に付す場合は、その換価代金を当事者全員の具体的相続分に応じて分配する旨を定めることになります。

共有分割

意義

共有分割とは、遺産の一部、全部を具体的相続分による物権法上の共有取得とする方法であり、共有関係を解消する手続きは、共有物分割訴訟(民法258条)によることになります。

類型

共有分割は、現物分割、代償分割、換価分割が困難な状況にある場合、当事者が共有による分割を希望しており、それが不当であるとは認められない場合などに限定されるべきであり、不動産・動産の共有、債権の準共有の状態の解消が比較的容易であるときは、遺産分割においてその解消を行うべきであるといえます。

共有取得後の売却

不動産を第三者に売却するに当たっては、被相続人名義のままで所有権移転登記はできません。

したがって、当該不動産を遺産分割によって取得し、共同相続人名義とする必要があります。

共有物分割請求における現物分割の方法

裁判所は、現物分割および競売による分割のほか、支払能力が存在する限り、価格賠償の方法による分割を命ずることができます。

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