腰の後遺障害にはどのようなものがあるか

腰の受傷としては、腰椎捻挫や椎間板ヘルニア、腰椎骨折、脊髄損傷が考えられます。

腰椎捻挫による神経症状

等級 後遺障害の内容 労働能力
喪失率
後遺障害慰謝料
(自賠責保険)
後遺障害慰謝料
(裁判基準)
12級13号 局部に頑固な神経症状を残すもの 14% 93万円 290万円
14級9号 局部に神経症状を残すもの 5% 32万円 110万円

14級9号は、事故の状況、診療経過からわかる症状に連続性・一貫性があり、事故による症状として説明可能であり、医学的に推定できる場合をいいます。

これに対し、12級13号は、自覚症状が他覚的所見(検査結果や画像所見によって外部から認識できること)により、事故による症状として証明可能な場合でなければなりません。

レントゲンやMRI検査の結果や、神経学的検査等の結果が重要なのは、むち打ちの場合と同じです。

椎間板ヘルニア

ヘルニアも神経症状を生じるため、後遺障害等級としては以下の二つになります。

等級 後遺障害の内容 労働能力
喪失率
後遺障害慰謝料
(自賠責保険)
後遺障害慰謝料
(裁判基準)
12級13号 局部に頑固な神経症状を残すもの 14% 93万円 290万円
14級9号 局部に神経症状を残すもの 5% 32万円 110万円

腰椎骨折による後遺障害

変形障害

等級 後遺障害の内容 労働能力
喪失率
後遺障害慰謝料
(自賠責保険)
後遺障害慰謝料
(裁判基準)
6級5号 脊柱に著しい変形を残すもの 67% 498万円 1180万円
8級相当 脊柱に中程度の変形を残すもの 45% 324万円 830万円
11級7号 脊柱に変形を残すもの 20% 135万円 420万円

レントゲンやCT、MRI画像などで、圧迫骨折が確認できる場合に、脊柱の後わん(脊柱が後方へ大きく突き出していること)や側わん(脊柱が右や左へ湾曲していること)の程度で評価されます。

なお、横突起や棘突起の局部的な欠損や変形では認められず、あくまで脊柱自体に変形が残ることが必要です。

著しい変形を残すもの

X線写真、CT画像又はMRI画像により、脊椎の圧迫骨折等を確認することができ、次のいずれかに該当するものをいいます。

Ⅰ 脊椎圧迫骨折等により、2個以上椎体の前方椎体高が著しく減少し、後彎が生じているもの。
Ⅱ 脊椎圧迫骨折等により、1個以上の椎体の前方椎体高が減少し、コブ法による側彎度が50度以上のもの。

中程度の変形を残すもの

X線写真、CT画像又はMRI画像により、脊椎の圧迫骨折等を確認することができ、次のいずれかに該当するものをいいます。
Ⅰ 上記Ⅱに該当する後彎が生じているもの。
Ⅱ コブ法による側彎度が50度以上であるもの。
Ⅲ 環椎又は軸椎の変形・固定(環椎と軸椎との固定術が行われた場合を含む。)により、次のいずれかに該当するもの。
・60度以上の回旋位になっているもの。
・50度以上の屈曲又は60度以上の伸展位となっているもの。
・側屈位となっていて、X線写真、CT又はMRI画像により、矯正位の頭蓋底部の両端を結んだ線と、軸椎下面との平行線が交わる確度が30度以上の斜位となっていることが確認できるもの。

変形を残すもの

次のいずれかに該当するものをいいます。
Ⅰ 脊椎圧迫骨折等を残しており、そのことがX線写真等により確認できるもの。
Ⅱ 脊椎固定術が行われたもの(移植した骨がいずれかの脊椎に吸収されたものを除く)。
Ⅲ 3個以上の脊椎について、椎弓切除手術等の椎弓形成術を受けたもの。

労働能力喪失について

脊柱変形の後遺障害には、「脊柱に著しい変形を残すもの」(6級、労働能力喪失率67%)、「脊柱に中程度の変形を残すもの」(8級相当、労働能力喪失率45%)、「脊柱に変形を残すもの」(11級、労働能力喪失率20%)があります。

もっとも、「11級」に該当する場合、保険会社は「脊柱に変形があったとしても労働能力は喪失しない」として、逸失利益の発生を否定します。

また、裁判例の中には、後遺障害等級11級に該当するケースでも、労働能力喪失率について20%未満しか認定しなかったものもあります。

脊柱の変形障害による労働能力喪失率については、年齢、性別、職種、骨折の部位・程度、脊髄への圧迫の有無、神経症状の有無、変形の進行可能性、就労制限の有無などの諸事情を総合的に考慮して判断されます。

運動障害

等級 後遺障害の内容 労働能力
喪失率
後遺障害慰謝料
(自賠責保険)
後遺障害慰謝料
(裁判基準)
第6級5号 脊柱に著しい運動障害を残すもの 67% 498万円 1180万円
第8級2号 脊柱に運動障害を残すもの 45% 324万円 830万円

脊椎圧迫骨折等のために、どの程度腰部の可動が妨げられているかによって評価されます。

この場合も、単なる運動障害のみではなく、画像診断で脊椎圧迫骨折や脊椎固定術等が認められないと、運動障害として評価されなくなってしまいます。

著しい運動障害を残すもの

次のいずれかにより、頚部及び胸腰部が全く可動しない、又は10%以下しか動かないものをいいます。
・頚椎及び胸腰椎のそれぞれに脊椎圧迫骨折等があり、そのことがX線写真、CT画像又はMRI画像により確認できるもの。
・頚椎及び胸腰椎のそれぞれに脊椎固定術が行われたもの。
・項背腰部軟部組織の明らかな器質的変化が認められるもの。

運動障害を残すもの

Ⅰ 次のいずれかにより、頚部及び胸腰部の可動域が1/2以下に制限されたもの
・頚椎及び胸腰椎に脊椎圧迫骨折等があり、そのことがX線写真、CT画像、MRI画像で確認できるもの。
・頚椎または胸腰椎に脊椎固定術が行われたもの。
・項背腰軟部組織に明らかな器質的変化が認められるもの。
Ⅱ 頭蓋、上位頚椎間に著しい異常可動性が生じたもの。

その他の体幹骨

等級 後遺障害の内容 労働能力
喪失率
後遺障害慰謝料
(自賠責保険)
後遺障害慰謝料
(裁判基準)
第12級5号 鎖骨、胸骨、肋骨、肩甲骨又は骨盤骨に著しい変形を残すもの 14% 93万円 290万円

著しい変形を残すものとは、裸体になったときに変形や欠損が明らかにわかる程度のものを指します。

X線写真でみてはじめて発見できる程度のものは該当しません。

鎖骨の変形障害については労働能力喪失の有無や労働能力喪失率が問題となるケースがあります。

鎖骨の変形障害は、「鎖骨、胸骨、肋骨、肩甲骨又は骨盤骨に著しい変形を残すもの」(12級、労働能力喪失率14%)として認定されます。

もっとも、鎖骨が変形しても肩関節の機能や日常動作に大きな影響はないことから、労働能力喪失は認められないとして逸失利益を否定されるケースがあります。

しかし、肩関節の機能や日常動作に全く影響しないというわけではないことから、労働能力への影響が大きい職業の被害者の場合には、軽度の機能障害であっても労働能力の喪失が認められる余地があります。

また、「著しい変形」とは外見から明らかにわかる程度のものを指すことから、容姿が重視される職業の場合(例えばモデルなど)については、労働能力の喪失が認められる余地があります。

鎖骨の変形障害の労働能力喪失率は、肩関節の機能障害の有無、痛みの有無、職種、年齢、就労状況や将来の職業選択にあたっての不利益などの諸事情を総合的に考慮して判断されることになります。

腰髄損傷

等級 後遺障害の内容 労働能力
喪失率
後遺障害慰謝料
(自賠責保険)
後遺障害慰謝料
(裁判基準)
1級1号 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの 100% 1100万円 2800万円
2級1号 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの 100% 958万円 2370万円
3級3号 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの 100% 829万円 1990万円
5級2号 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に簡易な労務以外の労務に服することができないもの 79% 599万円 1400万円
7級4号 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、簡易な労務以外の労務に服することができないもの 56% 409万円 1000万円
9級10号 神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの 35% 245万円 690万円
12級13号 局部に頑固な神経症状を残すもの 14% 93万円 290万円

脊髄損傷は、身体的所見及びMRI、CT画像等によって他覚的に裏付けられる麻痺の範囲と程度に則って後遺障害等級が幅広く定められています。

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