口の後遺障害にはどのようなものがあるか

口の後遺障害は「咀嚼障害」、「言語機能障害」、「歯牙障害」の3つがあります。

咀嚼機能障害

等級 後遺障害の内容 労働能力
喪失率
後遺障害慰謝料
(自賠責保険)
後遺障害慰謝料
(裁判基準)
第1級2号 咀嚼及び言語の機能を廃したもの 100% 1100万円 2800万円
第3級2号 咀嚼の機能を廃したもの 100% 829万円 1990万円
第4級2号 咀嚼及び言語の機能に著しい障害を残すもの 92% 712万円 1670万円
第6級2号 咀嚼の機能に著しい障害を残すもの 67% 498万円 1180万円
第9級6号 咀嚼及び言語の機能に障害を残すもの 35% 245万円 690万円
第10級3号 咀嚼の機能に障害を残すもの 27% 187万円 550万円

咀嚼の機能を廃したもの

流動食以外は摂取できないものをいいます。

咀嚼の機能に著しい障害を残すもの

粥食又はこれに準ずる程度の飲食物以外は摂取できないものをいいます。

咀嚼の機能に障害を残すもの

次のいずれかが医学的に確認(不正咬合、顎関節障害等)できる場合をいいます。
Ⅰ 固形食物の中に咀嚼できないものがあること
Ⅱ 固形食物の中に咀嚼が十分にできないものがあること

言語機能障害

等級 後遺障害の内容 労働能力
喪失率
後遺障害慰謝料
(自賠責保険)
後遺障害慰謝料
(裁判基準)
第1級2号 咀嚼及び言語の機能を廃したもの 100% 1100万円 2800万円
第3級2号 言語の機能を廃したもの 100% 829万円 1990万円
第4級2号 咀嚼及び言語の機能に著しい障害を残すもの 92% 712万円 1670万円
第6級2号 言語の機能に著しい障害を残すもの 67% 498万円 1180万円
第9級6号 咀嚼及び言語の機能に障害を残すもの 35% 245万円 690万円
第10級3号 言語の機能に障害を残すもの 27% 187万円 550万円

綴音(ていおん)

二つ以上の単音が結合してできた音をいいます。

語音には母音と子音があり、母音は声の音であり、単独で持続して発することができますが、子音は母音とあわせて初めて声に出すことができます。

子音は4種類に分類されます。

①口唇音

ま行音 ぱ行音 ば行音 わ行音 「ふ」

②歯舌音

な行音 た行音 だ行音 ら行音 さ行音 「しゅ」 「し」 ざ行音 「じゅ」

③口蓋音

か行音 が行音 や行音 「ひ」 「にゅ」 「ぎゅ」 「ん」

④喉頭音

は行音

これらの子音のいずれか又は複数を発することができない場合、言語機能障害があると判断されます。

言語の機能を廃したもの

4種の語音の内、3種以上を発音不能のものをいいます。

言語の機能に著しい障害を残すもの

Ⅰ 4種の語音のうち2種の発音不能のもの
Ⅱ 綴音機能に障害があるため、言語のみを用いては意思疎通することができないもの

言語の機能に障害を残すもの

4種の語音の内、1種の発音不能のものをいいます。

歯牙障害

等級 後遺障害の内容 労働能力

喪失率

後遺傷害慰謝料

(自賠責保険)

後遺傷害慰謝料

(裁判基準)

第10級4号 14歯以上に対し歯科補綴を加えたもの 27% 187万円 550万円
第11級4号 10歯以上に対し歯科補綴を加えたもの 20% 135万円 420万円
第12級3号 7歯以上に対し歯科補綴を加えたもの 14% 93万円 290万円
第13級4号 5歯以上に対し歯科補綴を加えたもの 9% 57万円 180万円
第14級2号 3歯以上に対し歯科補綴を加えたもの 5% 32万円 110万円

歯科補綴(しかほてつ)を加えたもの

現実に喪失、又は著しく欠損した歯牙に対する補綴をいいます。

著しくとは、歯冠部(見えている部分)の4分の3以上を欠損していることをいいます。

交通事故で現実に喪失、欠損した歯牙だけではなく、歯科技工上必要とされ削った歯の欠損が歯冠部の4分の3以上となった場合は、その歯についても判断の対象となります。

歯牙障害の場合、労働能力の喪失の有無や労働能力喪失率が問題となるケースがあります。

歯牙障害については、「14歯以上に対し歯科補綴を加えたもの」(10級、労働能力喪失率27%)、「10歯以上に対し歯科補綴を加えたもの」(11級、労働能力喪失率20%)、「7歯以上に対し歯科補綴を加えたもの」(12級、労働能力喪失率14%)、「5歯以上に対し歯科補綴を加えたもの」(13級、労働能力喪失率9%)、「3歯以上に対し歯科補綴を加えたもの」(14級、労働能力喪失率5%)とされています。

もっとも、歯を喪失・欠損した場合でも、義歯を入れたり修復したりすれば歯の機能としては回復することから、労働能力への影響は通常はないと考えられます。

したがって、歯牙障害による労働能力の喪失を認められないとして、逸失利益を否定するケースがあります。

しかし、仮に歯が修復されたとしても、例えば言葉の発音に障害が生じたり、歯を食いしばって力を入れるような職業(例えばスポーツ選手など)では不都合が生じることもあります。

このように、被害者の職業や仕事への支障の内容・程度などによっては、労働能力の喪失が認められる場合があります。

なお、労働能力の喪失が認められず逸失利益の発生が否定される場合でも、歯を喪失・欠損したことによる義歯や入れ歯の手入れなどに対する苦痛や、味覚への影響が生じる場合もあることから、後遺障害慰謝料を増額して認定されることもあります。

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