遺留分減殺請求の方法とその効果

被相続人が自由分を超えて贈与や遺贈を行ったため遺留分が侵害されたときに、受遺者や受贈者などに対して、その処分行為の効力を奪うことを遺留分の減殺といい、遺留分減殺を内容とする相続人の権利を遺留分減殺請求権といいます。

遺留分減殺請求の当事者

遺留分減殺請求ができるのは、遺留分権利者とその承継人です。

遺留分権利者は兄弟姉妹およびその代襲者を除く相続人です。

その承継人とは遺留分権利者の相続人、包括受遺者、相続分の譲受人などの包括承継者はもちろん、特定承継人(例えば各処分行為に対する個別的な減殺請求権の譲受人)も含まれます。

遺留分減殺請求の相手方は、減殺の対象となる遺贈の受遺者や贈与の受贈者およびその包括承継人です。

例外的に、受贈者から目的財産を譲り受けた者(特定承継人)が、譲り受けの時において、遺留分権利者に損害を与えることを知っていたときは、相手方となります(民法1040条但書)。

遺留分減殺請求権の行使

意思表示の方法によればよく、必ずしも訴えの方法によることを要しません。

裁判外でもよく、裁判で抗弁として主張した場合でもよいとされています。

遺留分減殺請求権の効力

基本的効力

遺留分減殺請求権が行使されると、遺留分を侵害する贈与や遺贈は、侵害の限度で失効し、贈与や遺贈が未履行のときは履行義務を免れ、既に履行しているときは、返還を請求できます。

これによって贈与や遺贈の目的物は受贈者・受遺者と減殺請求者との共有関係になります。

遺留分減殺請求権の法的性質

遺留分減殺請求権が行使されると、遺留分減殺請求権に服する範囲で遺留分侵害行為(贈与・遺贈)の効力は消滅し、目的物上の権利は当然に遺留分権利者に復帰します。

最高裁昭和41年7月14日判決

「遺留分権利者が民法1031条に基づいて行う減殺請求権は形成権であつて、その権利の行使は受贈者または受遺者に対する意思表示によつてなせば足り、必ずしも裁判上の請求による要はなく、また一たん、その意思表示がなされた以上、法律上当然に減殺の効力を生ずるものと解するのを相当とする。従つて、右と同じ見解に基づいて、被上告人が相続の開始および減殺すべき本件遺贈のあつたことを知つた昭和36年2月26日から元年以内である昭和37年1月10日に減殺の意思表示をなした以上、右意思表示により確定的に減殺の効力を生じ、もはや右減殺請求権そのものについて民法1042条による消滅時効を考える余地はないとした原審の判断は首肯できる。」

遺留分減殺請求は、遺留分権利者が相続の開始及び減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知った時から1年間行使しないときは時効によって消滅するとされています(民法1042条)。

しかし、遺留分権利者が相続開始後1年以内に遺留分減殺請求書を内容証明郵便で郵送しておけば、遺留分減殺請求のための調停を申し立てたのが相続開始から1年以上が経過した後であっても、時効により消滅することはないということになります。

遺留分減殺請求ができる額

遺留分権利者が実際に遺留分減殺請求をする場合の金額は、必ずしも遺留分の金額とは限りません。

なぜなら、遺留分権利者も被相続人から遺贈や生前贈与を受けていたり、特別受益に該当するような贈与を受けていることもあるからです。

したがって、遺留分権利者が実際に遺留分減殺を請求できる金額(遺留分侵害額)は、次の計算式により算定します。

遺留分侵害額=遺留分額-(遺留分権利者が被相続人から相続で取得した財産額-遺留分権利者が相続によって負担すべき相続債務額)-(遺留分権利者の特別受益額+遺留分権利者が受けた遺贈額)

例えば、上の図の場合で、被相続人(本人)は子1に対して全財産を相続させる旨の遺言をしていたとします。

被相続人の死亡時における相続財産は3000万円でした。

また、被相続人は、子1に対して、生活費として500万円を生前贈与していたほか、子2に対しても、事業資金に充てるために500万円を生前贈与していたとします。

この場合の子2の遺留分について検討しています。

まず、子2の個別的遺留分は、法定相続分4分の1×総体的遺留分2分の1=8分の1です。

また、遺留分算定のための基礎財産は、相続財産3000万円+子1への特別受益額500万円+子2への特別受益額500万円=4000万円となります。

よって、子2の遺留分額は4000万円×8分の1=500万円となります。

子2は、被相続人から特別受益として500万円を受領していたわけですから、遺留分侵害額は、遺留分額500万円-特別受益額500万円=0円となります。

その結果、子2の遺留分減殺請求は認められないということになります。

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