遺留分の減殺を請求した後はどのような法律関係になるのか

共同相続人の一部に遺贈ないし贈与がなされた場合で、他の相続人が遺留分減殺請求権を行使した場合、その相続人は当該処分の効力を否定することができ、その結果、減殺された財産は減殺者のもとに取り戻されることになります。

例えば、目的物の一部が遺留分減殺の対象となった時には、目的物に関して受遺者・受贈者と減殺請求者との間で共有関係が生じます。

共有関係を解消するには、取り戻された財産(持分)は、物権法上の共有の問題として地方裁判所または簡易裁判所での共有物分割請求などの民事訴訟手続によるものと解するか、それとも遺産に復帰すると考え、家庭裁判所での遺産分割手続の審判の対象となると解するべきかが問題となります。

要するに、共有持分権を相続人固有の財産とみるか、未だ遺産分割手続が終了していない相続財産(遺産共有状態)とみるのかです。

民事訴訟手続(家庭裁判所の一般調停事件を含む)が必要な場合

減殺請求をして取り戻した場合

通説・判例は、遺留分減殺請求の結果として取り戻された財産は、遺留分減殺請求権者の固有財産となり、相続財産には復帰せず、したがって、共同相続の場合であっても遺産分割の対象とならないと解しています。

この立場によれば、財産の分割手続は、次の方法をとることになります。

  • 遺留分減殺請求権を行使した者は、訴訟手続において、遺留分減殺請求権行使により自己に帰属した持分の確認や、この持分に基づく自己への所有権移転登記手続きなどを求めることができます。
  • 取り戻したのが個別財産上の持分である場合には、この物の分割手続は、物権法上の共有物分割手続によることになります。

全部包括遺贈の場合

訴訟による共有物分割手続によって共有関係を解消します。

遺産分割手続(家庭裁判所の審判および調停)が必要な場合

割合的包括遺贈、相続分の指定、相続分の指定を伴う遺産分割方法の指定、割合的「相続させる」旨の遺言については、遺留分減殺請求後に協議が整わないときは、家庭裁判所の遺産分割手続によることになります。

割合的包括遺贈の場合

減殺の結果、遺留分を侵害する限度で包括遺贈の割合が修正され、その修正された割合に従って遺産分割を行うと解されます。

減殺財産は、遺産に対する割合であり、減殺の結果生ずる減殺部分及び取戻部分もいずれも遺産に対する割合です。

したがって、減殺部分及び取戻部分はいずれも個々の遺産に対する共有持分ではないため、その分割を共有物分割訴訟に委ねることはできません。

相続分の指定の場合

遺留分を侵害する相続分の指定は遺留分減殺請求によって遺留分を侵害する限度でその効力を失い(民法902条1項但書)、相続分が修正されたことになり、その修正された相続分にしたがって遺産分割手続を行うことになります。

割合的「相続させる」旨の遺言

相続分の指定と考えて処理します。

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