交通事故による傷害慰謝料の算定方法

交通事故によって傷害を負った場合、被害者は加害者に対して、精神的苦痛を被ったことを理由として慰謝料を請求することができます。

傷害事故における慰謝料の金額も、他の損害の場合と同様に、自賠責保険・任意保険会社・裁判によって算定基準が異なります。

自賠責保険の算定基準

自賠責保険では、傷害慰謝料は1日あたり4,200円と決められています。

基準となるのは、治療期間と実治療日数です。

治療期間とは、治療開始日から治療終了日までの全日数をいいます。

実治療日数とは、実際に治療のため病院に行った日数をいいます。

治療期間と「実治療日数×2」を比較して、少ない方を通院期間とし、それに4,200円を乗じて傷害慰謝料を計算します。

任意保険会社の算定基準

任意保険会社には各自の算定基準がありますが、その内容については公開されていません。

もっとも、任意保険会社は、被害者との示談交渉の際に自賠責保険の算定基準に従った傷害慰謝料を計算して提示することがありますので、注意が必要です。

裁判基準

通常の場合の算定表(赤い本別表Ⅰ)

通常は赤い本「別表Ⅰ」を使用して入通院慰謝料を算定することになります。

別表Ⅰ
入院 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 13月 14月 15月
通院 53 101 145 184 217 244 266 284 297 306 314 321 328 334 340
1月 28 77 122 162 199 228 252 274 291 303 311 318 325 332 336 342
2月 52 98 139 177 210 236 260 281 297 308 315 322 329 334 338 344
3月 73 115 154 188 218 244 267 287 302 312 319 326 331 336 340 346
4月 90 130 165 196 226 251 273 292 306 316 323 328 333 338 342 348
5月 105 141 173 204 233 257 278 296 310 320 325 330 335 340 344 350
6月 116 149 181 211 239 262 282 300 314 322 327 332 337 342 346
7月 124 157 188 217 244 266 286 304 316 324 329 334 339 344
8月 132 164 194 222 248 270 290 306 318 326 331 336 341
9月 139 170 199 226 252 274 292 308 320 328 333 338
10月 145 175 203 230 256 276 294 310 322 330 335
11月 150 179 207 234 258 278 296 312 324 332
12月 154 183 211 236 260 280 298 314 326
13月 158 187 213 238 262 282 300 316
14月 162 189 215 240 264 284 302
15月 164 191 217 242 266 286

この算定表は横軸が入院期間、縦軸が通院期間となっています。

入院のみで通院がないという場合には上記算定表の上から2段目を使用します。

例えば、入院5か月のみ通院はなかったという場合には217万円ということになります。

逆に、入院はなく通院のみという場合には上記算定表の左から2列目を使用します。

例えば、入院なしで10か月通院したという場合には145万円ということになります。

入院後も通院したという場合には縦軸と横軸が交差する部分の金額となります。

例えば、2か月入院した後に8か月通院したという場合には194万円ということになります。

なお、この表を超える治療が必要となる場合は、入通院期間1か月につき、それぞれ15か月の基準額から14か月の基準額を差し引いた金額を加算した金額が基準額となります。

例えば、16か月入院したという場合には15月入院慰謝料340万円+(15月入院慰謝料-14月入院慰謝料334万)=346万円ということになります。

算定表は傷害慰謝料の算定において重視されますが、あくまで基準となるということにすぎないため、算定表を基準としつつも一定の増減がなされることはあり得ます。

この点について、赤い本では以下のような修正がなされることがあるとされています。

  1. 通院が長期にわたり、かつ不規則である場合には、実通院日数(実際に通院した日数)の3.5倍程度を通院期間の目安とするということがある。
  2. 被害者が幼児をもつ母親であったり、仕事等の都合など被害者側の事情で特に入院期間を短縮したと認められる場合には、金額を増加することがある。
  3. 入院待機中の期間およびギブス固定中等安静を要する自宅療養期間は入院期間とみることがある。
  4. 傷害の部位・程度によっては,金額を20から30%程度増額する。
  5. 生死が危ぶまれる状態が継続した場合、麻酔なしでの手術など極度の苦痛を被った場合、手術を繰り返した場合などは、入通院期間の長短にかかわらず、別途増額を考慮する。

むち打ち症で他覚症状がない場合の算定表(赤い本別表Ⅱ)

通常は赤い本「別表Ⅰ」を使用して入通院慰謝料を算定することになりますが、むち打ち症で他覚症状がない場合には,通院期間が長期化してしまうということもあり得ることから、「別表Ⅱ」によって慰謝料金額を算定することになっています。

別表Ⅱ
入院 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 13月 14月 15月
通院 35 66 92 116 135 152 165 176 186 195 204 211 218 223 228
1月 19 52 83 106 128 145 160 171 182 190 199 206 212 219 224 229
2月 36 69 97 118 138 153 166 177 186 194 201 207 213 220 225 230
3月 53 83 109 128 146 159 172 181 190 196 202 208 214 221 226 231
4月 67 95 119 136 152 165 176 185 192 197 203 209 215 222 227 232
5月 79 105 127 142 158 169 180 187 193 198 204 210 216 223 228 233
6月 89 113 133 148 162 173 182 188 194 199 205 211 217 224 229
7月 97 119 139 152 166 175 183 189 195 200 206 212 218 225
8月 103 125 143 156 168 176 184 190 196 201 207 213 219
9月 109 129 147 158 169 177 185 191 197 202 208 214
10月 113 133 149 159 170 178 186 192 198 203 209
11月 117 135 150 160 171 179 187 193 199 204
12月 119 136 151 161 172 180 188 194 200
13月 120 137 152 162 173 181 189 195
14月 121 138 153 163 174 182 190
15月 122 139 154 164 175 183

別表Ⅱも算定表の見方は別表Ⅰの場合と同様です。

なお、通院期間については算定表の期間を限度として実治療日数の3倍程度を目安とするものとされています。

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