話を聞くことの重要性

弁護士が相談者から初めて相談を受ける際、お話をうかがいながら相談されているのがどのような事案であるのか、どのような点にお困りなのか、どのような対処方法が最善といえるかを考えています。

その際、適切なアドバイスをするために弁護士の側からいろいろと質問させていただいたり、関係資料を見せてもらって説明を求めたりすることもあります。

弁護士にとってはごく普通のことなのですが、実はこの「話を聞く」ということは非常に重要であるにもかかわらず、これを疎かにしてしまいがちなのではないかと思っています。

相談者は自分が抱えている悩みやトラブルが法律的に見てどうなのか、法律的にどのように対処すればいいのかを相談されます。

ですから、弁護士に相談するときに

「この事実は重要だが、この事実はそれほど重要ではない」

「この話は関係がない」

などという判断をせず、

「すべての事情が重要だ」

と思ってお話をされます。

他方、弁護士の側からすると、お話をうかがっていると「この相談の内容は○○の問題だな」と予測を立てています。

そうすると、その点についての回答もある程度予測がつきますので、

「この方はこのように言っているけど、△△はどうなっているのだろう」

という疑問がわいてきます。

そのため、相談者の話の途中であっても「△△はどうなっているのですか?」と質問します。

それに対して相談者が回答すると「では□□は?」とさらに質問します。

適切なアドバイスをするためには当然の質問なのですが、このように弁護士から次々と質問をしてしまうと、相談者は「この弁護士は話を聞いてくれない」というイメージを持ってしまいます。

その結果、相談者は「相談したいことの半分くらいしか相談できなかった」ということになってしまいます。

また、相談を受けている時点では「その話は関係ない」と話を遮ってしまうこともあります。

実際に、弁護士の立場からすると、予測した相談の内容や回答の内容とは関係のない話をされることはよくあることで、「聞いても聞かなくても答えは同じ」とつい考えてしまい、相談者の話を終わらせるために「その話は関係ない」と言ってしまうことがあります。

しかし、相談者の側はなぜ関係がないといわれているのかを理解されていませんので、やはり「この弁護士は話を聞いてくれない」というイメージを持ってしまいます。

このように相談者の話を途中までしか聞かなかったり、話を途中で遮ったりしておきながら「依頼者と弁護士との信頼関係が大事」などと言われても、それは弁護士本位の言い分でしかないのではないかと思うのです。

ですから、私は相談者や依頼者の方々から「相談しやすい」「話がしやすい」というだけでなく、

「何でも聞いてくれる」

と評価されるような弁護士でありたいと思っています。

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