弁護士が本音で教える!顧問弁護士を選ぶ際の注意点と選び方

「うちの会社にもそろそろ顧問弁護士をつけよう。」

「経営者が代替わりしたのを機に顧問弁護士を替えよう。」

「今の顧問弁護士は動きが悪いから替えよう。」

と考えている企業の経営者の方々も多いと思います。

その場合の最大の問題は「どのような弁護士に顧問弁護士になってもらうのが適切なのか。」ということです。

そして、どの弁護士を顧問弁護士にしようかといろいろな弁護士や法律事務所のホームページをご覧になっているのではないでしょうか。

もっとも、そのほとんどが顧問弁護士のメリットや顧問料などの紹介ばかりで(かく言う私も同じですが)、実際にどのような点に注意して顧問弁護士を選ぶべきかについては判断が難しいのではないかと思われます。

そこで、顧問弁護士を選ぶ際の注意点と選び方について、私なりに解説してみたいと思います。

顧問弁護士を選ぶ際の注意点

「弁護士個人との顧問契約」なのか「法律事務所との顧問契約」なのか

貴社が顧問契約を締結する場合には、大別して、弁護士個人と顧問契約を締結する場合と、法律事務所(弁護士法人を含む)と顧問契約を締結する場合とがあります。

弁護士個人が顧問弁護士になる場合には、その弁護士が常に顧問弁護士として相談や事件処理を担当することになりますので、深い信頼関係を構築・維持することができるというメリットがあります。

その反面、弁護士が他の依頼者の訴訟に対応していたり、遠方へ出張していたりすると、すぐに対応してもらいたいと思っても対応できない場合があるというデメリットがあります。

他方、法律事務所と顧問契約を締結している場合には、主として対応することになっている弁護士が不在などの理由ですぐに対応できないという場合でも、同じ法律事務所内の他の弁護士が対応することが可能となるため、迅速な対応という点ではメリットがあります。

もっとも、弁護士との個人的なつながりという点では関係性が希薄になりますので、信頼関係をどこまで深められるかが鍵となります。

また、頻繁に担当してくれていた弁護士が事務所を独立した場合には、その弁護士はその法律事務所とは無関係の立場になりますので、顧問弁護士としての事件処理を継続して依頼することはできなくなります(このような場合、その弁護士と別途顧問契約を締結すればよいとも考えられますが、その場合には複数の顧問契約を締結することになりますのでコストがかかることになります)。

顧問先の企業が多い弁護士ほど顧問弁護士のメリットを受けられるとは限らない

顧問先の企業の数が多い弁護士のほうが企業法務についての知識や経験が多いということを意味しますので、顧問弁護士としての適切な対応が可能であると考えることができます。

実際に、弁護士の中には顧問先の企業が多いことをアピールしている方もいらっしゃいます。

もっとも、顧問先の企業が多ければ多いほど、顧問契約のメリットとしてあげられる「優先対応」ができないのではないかと思われます。

例えば、顧問先の企業が10社あるという場合、緊急を要する案件が複数同時に発生したとしても、優先対応という点ではそれほど支障はないと思われます。

しかし、顧問先企業が50社あるという場合には、緊急を要する案件が複数同時に発生する可能性が高くなりますし、件数もより多くなる可能性が高くなります。

顧問先企業が100社以上あるという場合には、そのような事態が発生する可能性がより高いことを意味します。

そうなると、弁護士は、どの顧問先を優先するべきか、どの案件を優先的に処理するべきかを考えなければならなくなります。

もし貴社がその選考から漏れてしまった場合には必然的に「優先対応は受けられない」ということになってしまいます。

つまり、顧問先の企業が多ければ多いほど、弁護士の事件処理という点では競合相手が多いということになりますので、必ずしも優先対応してもらえるとは限らないということになります。

同業他社の顧問弁護士でもある場合には利益相反となる可能性がある

顧問弁護士を選ぶ際には、貴社の事業分野に対しての知識・経験を持つ弁護士のほうが良いといえるでしょう。

ただし、顧問契約を締結した弁護士が同業他社の顧問弁護士でもあるという場合、その他社との間で紛争が生じた場合には、顧問弁護士が交渉や訴訟を代理人として対応することは利益相反となるためできません。

そのような場合には、貴社は事件処理を依頼する弁護士を別途見つける必要があります。

このような利益相反の問題は、同じ法律事務所内の他の弁護士との間でも起こりうる問題です。

所属する弁護士の数が多い法律事務所や、顧問先の企業の数が多い法律事務所であればあるほど、利益相反となる可能性が高くなります。

顧問料が安いという点だけで顧問弁護士を選ぶのは危険

一昔前の顧問弁護士に対する顧問料は月額5万円というのが通例でした。

今では月額2万円~10万円の範囲内というのが多いようにも思われます。

そのような中で、昨今では顧問料が月額5000円程度、中には顧問料が0円という顧問弁護士まで現れているようです。

顧問料が安いということは、それだけコストがかからないということですから、顧問弁護士を探している経営者からすれば大きなメリットでしょう。

しかし、同じことを考える経営者は当然多いと考えられます。

つまり、顧問料が安いということはそれだけ多くの顧問先を抱えている可能性があるということを意味します。

そうすると、先ほど述べたように、弁護士の事件処理という点での競合相手が多いということになりますので、必ずしも優先対応してもらえるとは限りません。

利益相反の問題も発生しやすいことになります。

また、顧問料が0円であるということはおそらく法律相談料も無料であろうと考えられますが、そうであればわざわざ顧問契約を締結する必要はなく、単に無料法律相談を受ければ足りるはずです。

あえて申し上げると、弁護士は顧問料というお金をもらっているからこそ顧問先の利益のために活動するといえます。

貴社にとっても、取引金額の大きな取引先であればあるほど、大事な顧客として対応するのではないでしょうか。

弁護士も同じで、顧問料0円の顧問先と毎月5万円の顧問料を支払ってくれている顧問先とでは、対応の仕方が異なってくると思われます。

顧問料の範囲内で可能な業務に制限がある場合もある

弁護士と顧問契約を締結する際には、顧問料の範囲内で行う業務の内容を決めるのが通例です。

もっとも、弁護士によっては、顧問料の金額に応じて、法律相談の回数や時間を制限していたり、契約書をチェックする件数を制限していたりする場合があります。

その範囲でおさまるのであれば追加の費用はかかりませんが、もしその制限を超える法律相談や契約書のチェックを依頼する場合には別途費用がかかる場合があります。

顧問料の範囲内でおさめるために翌月に法律相談や契約書のチェックなどをずらしてしまうことも考えられますが、そのような対応をするのは「顧問弁護士による迅速な対応」というメリットを自ら放棄することを意味することになりますし、場合によっては時機を逸してしまうことにもなりかねません。

顧問料の範囲内で可能となる業務に制限がある場合には、その制限内でおさまるか否か、追加費用が必要になるとしてどのくらいの金額が見込まれるのかなどを十分に検討しておく必要があります。

事件処理の弁護士費用が「着手金・報酬方式」か「タイムチャージ方式」か

顧問料の範囲を超える業務、具体的にいうと民事訴訟や示談交渉などを依頼する場合には、弁護士に対する費用が別途かかることになります。

その場合、弁護士費用を「着手金・報酬方式」にしているか「タイムチャージ方式」にしているかを確認しておく必要があります。

着手金・報酬方式とは、弁護士に対して、事件を依頼した際に支払う着手金と事件処理の成果に応じて支払う報酬とを支払うという場合を指します。

これに対し、タイムチャージ方式とは、事件処理にあたっての打合せや書類作成・調査などに要した時間に応じて弁護士費用を支払うという場合を指します。

いずれの場合であっても、顧問契約をしている場合には一定の割引をしているのが通例です。

弁護士がどちらの方式で弁護士費用を請求することになるのかについて十分に説明を受けた上で、コスト面でのメリット・デメリットを十分に検討しておく必要があります。

顧問弁護士の選び方

次に、私が考える顧問弁護士の選び方について説明します。

必ず弁護士と面談するべき

顧問弁護士を選ぶ際に最も多いのは友人・知人からの紹介だと思われます。

また、インターネットで検索して顧問弁護士を探すという方法もあります。

いずれの場合であっても、貴社の顧問弁護士としてふさわしいといえるか否かを判断するために、必ず弁護士と面談するべきです。

顧問弁護士をつけるということは、将来にわたってその弁護士とつきあっていくことになります。

その際に必要なのは「相性が合う」ということです。

弁護士の話し方や聞き方、受け答えの態度だけでなく、声の質や大きさなど、ありとあらゆる面からみて相性が合うか否かを判断することが必要です。

弁護士としての知識や経験が豊富であり、実績も申し分なく、企業法務に詳しい優秀な弁護士であったとしても、相性が合わないという場合には長くつきあっていくことが逆に苦痛になってしまいます。

貴社においても、事業を経営されている以上は当然取引先が存在するはずですが、その取引先との関係を維持しているのは相性が合うという面も少なからずあると思います。

弁護士も同じで、顧問契約という契約を締結することにより貴社にとっては顧問弁護士は取引先となるわけですから、相性を考慮するのは当然のことなのです。

相性が合うか否かを判断するためには、必ず弁護士と面談するべきだと思います。

ビジネスパートナーとしてふさわしいか否かを見極めるべき

「弁護士はお願いする相手」という考えをお持ちの経営者がいらっしゃいます。

そのような考えをお持ちの経営者ほど、顧問弁護士と自社との関係を上下関係に考えているようです。

現に「弁護士は依頼者から頼まれて仕事をやってあげている立場」との考えをお持ちの弁護士もいらっしゃいます。

しかし、私が考える顧問弁護士と顧問先とのあるべき関係は「対等なビジネスパートナー」です。

例えば、顧問先の企業を100社以上抱えているような法律事務所であっても、ホームページ上で顧問弁護士について紹介し、募集しています。

その理由は、顧問先の企業からの顧問料が弁護士業務をおこなっていくうえでの経済的基盤を支えているからです。

顧問先の企業が多ければ多いほど顧問料収入が増えるわけですから、安定した経営を行うことができるようになります。

つまり、顧問先の企業は、顧問弁護士を経済的に支えているのです。

このように考えると、顧問弁護士は顧問先の事業を法的な観点から支え、顧問先の企業は顧問弁護士の経済的基盤を支えているという関係になります。

まさに「持ちつ持たれつ」なのです。

そうすると、「弁護士は依頼者から頼まれて仕事をやってあげている立場」などという上から目線の弁護士ではなく、顧問先を対等なビジネスパートナーとして考える弁護士の方が、貴社にとってふさわしいのではないかと思われます。

自社の事業内容を把握する姿勢を示しているかを見極めるべき

先ほども述べたとおり、顧問弁護士は顧問先のビジネスパートナーです。

したがって、顧問弁護士は当然顧問先の事業内容を十分に把握する必要があります。

この「事業内容の把握」というのは、単に顧問先がどのような仕事をしているのかといった商売の内容ではありません。

顧問先の顧問弁護士として活動していくためには、顧問先が当該事業を行っていくうえで発生するであろう問題点を分析するとともに、関係各法令・監督官庁などを把握するのはもちろん、それを踏まえた対処方法についても十分に把握・検討しておく必要があります。

弁護士と面談した際、弁護士が貴社の事業内容を把握しようとする姿勢を示しているか否かというのは、顧問弁護士として顧問先の利益のためにどれだけ尽力しようとしているのかを見極める試金石となるのです。

この点に関連して、弁護士の中には「事業内容に精通している弁護士」や「事業内容についての実績がある弁護士」を探すべきであると紹介している方もいらっしゃいます。

その点については真っ向から否定するつもりはありませんが、この点を重視することには疑問があります。

なぜなら、「精通している」「実績がある」というのはすべて弁護士による自己評価だからです。

「精通している」「実績がある」というと、長年にわたり少なくとも数十件は同じ事業内容に関する事件処理に当たった経験があるかのように思われがちですが、必ずしもそのようなことはなく、単に2~3件の事件処理の経験しかない場合でも「精通している」「実績がある」といっているかもしれません。

しかも、弁護士には守秘義務がありますので、どのような案件を処理してきたのか、どのような解決に至ったのかなどの裏付けを示すことはありません。

このような自己評価に目を向けるよりも、経営者としての自らの眼で「この弁護士は自社のためにどこまで尽力してくれるか」を見極めるべきだと思います。

できる限り弁護士個人との顧問契約を選択するべき

私としては、法律事務所との顧問契約を締結するよりも、弁護士個人との顧問契約を選択するべきだと考えています。

法律事務所との顧問契約を締結した場合、特定の弁護士との間で相性が合うとしても、同じ法律事務所内の他の弁護士とも相性が合うとは限りません。

また、弁護士の場合には法律事務所からの独立ということが考えられます。

その場合には、対応する弁護士が交代することになってしまいます。

貴社の取引先の担当者が転勤などで異動になった場合、別の担当者が引き継ぎを受けていることでしょう。

この場合、新たな担当者との間で意思疎通がうまくいくとは限らないのではないでしょうか。

対応する弁護士が交代するということは、その弁護士との間での信頼関係を構築するということもまたやり直しとなってしまいます。

弁護士の立場から見ても、「法律事務所の顧問先の1つ」という場合と「自分自身の顧問先の1つ」という場合とでは、後者の方が思い入れがありますし、個人的な信頼関係のほうがより親密であるといえます。

また、仮に当該弁護士が法律事務所を独立するとしても、顧問関係はそのまま継続することになるため、改めて顧問契約を締結し直す必要はありません。

さらに、優先対応の面については、弁護士個人の携帯電話の番号やメールアドレスを聞いておくなどして一定の対応をしておくことも可能です。

費用対効果を検討するべき

顧問弁護士をつける場合に気になるのは、顧問料や弁護士費用などの金銭面だと思います。

私がこれまでに顧問先との顧問契約を締結する際にも、「顧問料はどのくらいかかりますか?」との相談を受けてきました。

もちろん、顧問料も安いに越したことないでしょう。

しかし、顧問料の範囲内で可能となる業務の範囲やその範囲を超える場合の追加費用、交渉や訴訟などの手続に要する弁護士費用の決め方(着手金・報酬方式かタイムチャージ方式か)、割引率などを踏まえた費用対効果を検討するべきだと思います。

そして、顧問契約の内容に関して弁護士に意見を述べるなどして柔軟な対応を求め、よりよい顧問契約の内容になるようにするべきでしょう。

顧問契約は、貴社にとっても取引である以上、費用対効果やメリットなどを考えて契約を締結するのは当然のことです。

弁護士の方から柔軟な姿勢を示すことなく、弁護士が決めた顧問契約の内容を押しつけられるような場合には、ビジネスパートナーとしてはふさわしくないといえるでしょう。

自社に合わないと思った場合には顧問契約を終了することも必要

一度弁護士と顧問契約を締結した場合には、顧問契約を打ち切ることができないと考えておられる経営者の方も多くいらっしゃいます。

しかし、これは完全な誤解です。

顧問契約を締結してはみたものの思っていたほど顧問弁護士は必要なかったという場合や、自社のために活動してくれなかったり、優先対応してくれなかったりなど、当初の見込みとは異なる事態になることは当然ありえます。

このような場合には、顧問契約を終了させることは可能です。

貴社にとっても、取引先からの売掛金の支払いが滞っている場合など、取引を続けていくうえで必要な信頼関係が壊れてしまった場合には、取引先との取引を打ち切るのではないでしょうか。

顧問契約についても同様で、顧問契約は貴社にとっては1つの取引であり、顧問弁護士と貴社とはビジネスパートナーなのですから、弁護士との間での信頼関係を構築・維持できないのであれば、顧問契約は打ち切りという経営判断するべきだと思います。

最後に

以上が、顧問弁護士を選ぶ際の注意点と選び方に関する私の考えです。

貴社にとって最もふさわしい顧問弁護士はどのような弁護士であるのかを十分に検討していただき、経営者としての「見極める眼」で顧問弁護士を選んでいただければと思います。

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