契約書作成

契約書を作成する目的は、後にトラブルが発生しないようにするためです。

ただ、契約書は作成すればよいというものではありません。

契約書を作成してもその内容が不十分であれば、無意味です。

契約書を作成するにあたっては、自社の事業内容に照らして、

「この内容で契約を締結した場合に自社はどのような権利義務を負うことになるのか」

という点を確認しながら、契約書の内容を検討する必要があります。

記載内容

契約書を作成するにあたって、規定しておいたほうがよいと考えられる基本的な条項は以下のとおりです。

目的物の特定

不動産や商品の売買の場合には、その対象となる目的物を正確に特定しておく必要があります。

請負工事や業務委託などの場合には、委託する業務の範囲や、工事の内容などを特定しておく必要があります。

このように目的物を特定するのは、契約の対象となっているのか否かが判然としない場合に、一方当事者は当然に契約の内容に含まれていると考えているのに対し、他方当事者は契約の内容には含まれていないという認識でいた場合、契約に従った代金の支払いまどで紛争が生じることがあるからです。

特に、請負工事の場合には、業界の慣習上、契約書を作成していないことがほとんどです。そのため、請負業者や下請負業者が追加工事や変更工事に該当するものとしてその分の工事代金の支払いを求めても、当初の契約の内容に含まれていると主張されたり、追加工事や変更工事分の代金の合意が成立していないと主張されたりして紛争が生じることがあり、時としてその解決には相当長期間を要することがあります。

支払の金額・支払期限および支払方法

支払金額については、その金額が消費税込なのか否かを明確にする必要があります。

支払期限については、特に支払義務を負う場合には代金の集計や資金繰りなどの関係で無理がないように設定する必要があります。

支払方法については、一括払いか分割払いか、分割払いの場合には保証人などの担保は必要ないか、銀行振込の場合には振込手数料をどちらの負担かを記載しているかなどを検討します。

例えば

「乙は、甲に対し、平成●年●月●日限り、第●条の売買代金を甲の指定する銀行口座に一括にて振り込むものとする。この場合の振込手数料は乙の負担とする。」

と記載します。

請負工事の場合には、報酬についての取り決めをしていない場合、原則として、工事完成後の後払いとなり、完成まで無報酬で仕事をしなければならなくなります。

そこで、出来高払いなどの支払方法を定めておく必要があります。

目的物の引渡しの期限・方法

売買の目的物の引渡しや請負工事の目的物の引渡しについての期限や方法を明確に記載します。

不動産の売買などの場合には、登記手続の費用負担などについても記載します。

解除

契約の解除は、一方当事者の債務不履行があった場合などに認められますが、原則としては、相手方に催告したうえで解除する必要があるため、手間や時間がかかります。

そこで、無催告で解除できる事由を定め、その事由に該当する場合には直ちに解除できるようにしておくと効果的であるといえます。

損害賠償

一方当事者の債務不履行により損害が発生した場合、損害賠償を請求できます。

もっとも、実際に損害賠償請求を行う場合、その損害額の立証が困難である場合が多く、紛争解決に相当長期間を要することがあります。

そこで、契約に違反した場合の損害賠償額をあらかじめ決めておくことにより、紛争の複雑化や長期化を回避できます。

危険負担

当事者の故意・過失なく債務不履行になった場合、そのリスクを契約当事者のいずれが負担するのかを記載することにより、リスク回避を図ることができます。

担保責任

特定物の売買や請負工事において隠れた瑕疵があった場合に、買主(注文主)は売主(請負人)に対して損害賠償を請求できます。

このような担保責任について契約書に明記できます。

保証人

売買代金や請負代金の担保のために保証人を立てることがあります。

保証契約は書面によらなければ効力を生じませんので、保証人を立てる場合には必ず記載する必要があります。

例えば

「連帯保証人丙は、本契約に基づき乙が負担する一切の債務について乙と連帯して保証し、甲に対してその履行の責任を負うものとする。」

と記載します。

この場合、保証人自身の署名・押印を求める必要があります。

契約期間

継続的商品取引契約や業務委託契約などの継続的な契約の場合には、契約期間を定めます。

また、契約期間満了時にも契約を継続するか否かを明確にするために、契約の更新や更新拒絶などの方法を記載します。

例えば、

「本契約の有効期間は、平成●年●月●日から平成●年●月●日までの満●年間とする。ただし、期間満了の●ヵ月前までに、当事者の一方から他方に対し、書面による更新拒絶の申出をしない限り、さらに●年間更新されるものとし、以後も同様とする。」

と記載します。

裁判管轄

契約当事者間で紛争になった場合、どこの裁判所を管轄裁判所とするのかを記載します。

例えば

「本契約に関して紛争が生じた場合は、甲の住所地を管轄する裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。」

と記載します。

協議

契約締結の際に想定しなかった事態が発生した場合などに、当事者が協議して対応する旨を記載します。

例えば

「本契約に定めのない事項、または本契約各条項の解釈に疑義が生じた場合は、甲および乙は誠意をもって協議し、これを解決する。」

と記載します。

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