野球経験者だからわかる!法律相談はキャッチボールと同じ

「弁護士は敷居が高い」というイメージをお持ちの方が多くいらっしゃいます。

このイメージについては、おそらく大多数の弁護士が「誤解だ」というでしょう。

しかし、「うちの事務所は敷居が低い」「相談しやすい」といくら宣伝したところで、お客様に「そんなことはない」と思われてしまえばそれまでです。

実際に、敷居が低いということを謳い文句にしている弁護士の中にも、「いやいや、私から見ても十分敷居が高いですよ。」という弁護士は多くいらっしゃいます。

ちなみに、私の場合はどうかというと、「敷居などありません」という回答になります。

しかし、これもまた自己評価であって、実際に判断するのはお客様自身です。

ましてや、敷居が高いか否かという問題は、実際に弁護士に相談する前のイメージです。

したがって、敷居が高いかどうかを相談する前に判断することはできないといえます。

私は、このような「弁護士は敷居が高い」という誤解を払拭するにはどうすればよいのかとずっと考えてきました。

その結果、私がお客様とのコミュニケーションを図る上で、どのような姿勢で臨んでいるのかをお伝えするのがよいのではないかという結論に達しました。

私がお客様とのコミュニケーションを図る原点は「キャッチボール」です。

私は小学校に入学した時から野球を始め、高校時代には甲子園を目指し、現在も福岡県弁護士会の野球チームに入っています。

そのような私が野球を通じて得た経験や感じてきたことが弁護士業にも役になっているということをお伝えしてみようと思います。

初めてボールを投げるとき

皆さんが子供の時に初めてキャッチボールをしたときのことを思い浮かべてください。

もしくは、ご自身がお子さんと初めてキャッチボールをした時のことを思い浮かべてください。

やったことがないという方は想像だけでもしてみてください。

初めてボールを握った子供は、相手に向かって一生懸命にボールを投げます。

そのボールがまっすぐ相手の捕りやすいところに飛んでくることはまれで、ほとんどがあっちに行ったりこっちに行ったりするでしょう。

時には必死に手を伸ばしたとしても到底届かないようなところに飛んでくることもあります。

さて、そのようなボールを捕る側はどのような行動をとるでしょうか。

大きく分けると、2つのタイプが考えられます。

それは、必死に上下左右に手を伸ばしたり、ジャンプしたり、かがんだりして、そのボールをどうにかして捕ろうとするタイプと、捕れないところに投げる方が悪いと言わんばかりに全く捕ろうとしないタイプです。

この場合、ボールを投げた子供は何も悪くはありません。

なぜなら、それが初めてボールを投げるという行動をしたからです。

できなくて当たり前なのです。

皆さんは、そのボールを「どこに投げているんだ。」と言わんばかりに全く捕ろうとしないでしょうか。

ほとんどの方が、どうにかしてそのボールを捕ろうとするはずです。

これを弁護士と相談者との関係に置き換えてみましょう。

相談者は初めて弁護士に相談します。

何をどのように相談すればよいのかということ自体が理解できていません。

そのため、相談者は、ご自身に起こった出来事や自分の考えを弁護士に伝えようと、一生懸命お話しをされます。

その内容は、弁護士からすれば関係のないこと、法律的に間違っていること、確かにそのとおりだと思われることなど、いろいろなことが含まれています。

では、その話を弁護士はどのように受け止めるべきでしょうか。

「無関係である。」「法律的に間違っている。」「単に相談者自身の価値観に基づいて訴えているだけである。」などの理由で、相談者の話を聞かずに受け入れようとしない弁護士もいるでしょう。

私は、このような弁護士がいるからこそ、「自分の相談など親身になって聞いてくれるはずがない。」「相手にしてもらえないんじゃないか。」というイメージをもたれてしまい、結果的に「弁護士は敷居が高い」という誤解につながっているのではないかと思うのです。

私の場合はどうかというと、たとえ無関係のこと、法律的に間違っていることなどであったとしても、すべてのお話をうかがおうと思っています。

それは、大半の方が弁護士に相談すること自体が初めてであり、「何を相談しようか。」「自分はこう思っているけど正しいのだろうか。」「ネットで調べたらこう書いてあったけど、違うのか。」などとあれこれ考え、それを一生懸命にお話してくださっているからです。

そして、相談者からお話をうかがうことで、その相談者が物事をどのように考え、どのように理解しているのかを知ることができるとともに、私からの説明をどのくらい受け入れてもらえそうなのかを判断することができます。

初めてボールを捕るとき

では、逆に子供に対してボールを投げ返す場合、どうするでしょうか。

子供が捕れるはずがないような高さやスピードのボールを投げ返すでしょうか。

そのようなことをしても子供は全く捕れませんし、場合によってはボールが体に当たってしまい、怪我をするかもしれません。

それを「こんなボールも捕れないのか。」という方はいらっしゃらないでしょう。

ほとんどの方が緩いボールを捕りやすいところに投げようとするはずです。

場合によっては、下から山なりのボールを投げるかもしれません。

そうやって、子供が捕れるようなボールを投げ返すはずです。

そして、子供が実際にボールを捕れれば、またボールを投げるでしょう。

その繰り返しがキャッチボールとなります。

これを弁護士から相談者に対してアドバイスする場合に置き換えてみます。

弁護士が普段使っている法律用語は、一般の方からすれば全くなじみのないものですし、難解なものであると思います。

そのような言葉をそのまま相談者に対して使ったとしても、相談者は理解できません。

場合によっては、相談者から「『そんなことも知らないのか』と弁護士に馬鹿にされた。」との印象を持たれてしまうことにもなりかねません。

ですから、弁護士から相談者に対してアドバイスをする場合には、相談者にもわかってもらえるような説明の仕方や言葉を選ぶ必要があります。

そうやって、相談者の方が理解していただければ、それを踏まえた質問が出されます。

それに対しても同様にアドバイスをすることになります。

ある程度慣れてきた場合

では、キャッチボールに慣れてきた場合にはどうなるでしょうか。

たいていの子供は、変化球を投げたがります。

その場合、どのような対応をするでしょうか。

キャッチボールをしているときに変化球を投げるなどけしからんといって怒るでしょうか。

それとも、子供が変化球を投げたことを成長とみて喜ぶと同時に、子供以上の変化球を投げ返すでしょうか。

私の場合は、間違いなく後者です。

子供が変化球を投げてきたということは、通常のキャッチボールに慣れてきたので、いろいろと試したいということを意味しています。

そうであれば、ボールを捕る側もそれを受け止めてあげることが必要だと思います。

そして、それ以上の変化球を投げ返すということは、子供がその変化球を捕れるようになるまで成長したことを認めていることを意味しますし、基本編から応用編に進歩したことを意味するからです。

弁護士と相談者も、実は同じことがいえます。

相談者は弁護士とのコミュニケーションがとれるようになると、相談内容とは全く別の相談であったり、ご自身のプライベートな話であったり、時には全く関係のない愚痴や笑い話をされることもあります。

このようなときに、「関係のない話を聞く時間はない」などといって、聞く耳を持たない弁護士もいるでしょう。

しかし、私の場合は、そのような話でも聞いています。

というよりも聞いてしまいます。

そして、その話に乗っかって、いろいろな話をすることもあります。

はっきり言って、相談内容とは全く関係のないような話をすることもあります。

しかし、弁護士も相談者もお互いが他愛もない話をすることで、より強い信頼関係が築けています。

私は、それで良いと思っています。

最後に

これが私の原点です。

このような姿勢で、弁護士生活17年目を迎えています。

1年目・2年目に比べれば、私自身も成長し、お客様から投げられるボールをよりうまく捕れるようになってきました。

「弁護士は敷居が高いから相談しにくい」「別の弁護士に相談したが、まともに話を聞いてくれないし、相手にしてくれなかった」という方は、一度私に相談してみてください。

私が言っていることが間違いではないということを実感していただけると思います。

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