深夜労働に対する割増賃金とは

労働基準法は、労働時間を1日8時間または1週40時間と定め、加えて週1回又は4週に4回以上の法定休日を与えなければならないことを最低限の基準としていますが、それ以外にも、午後10時以降午前5時までの深夜時間帯での労働(深夜労働)を制限しています。

現代では深夜営業をしているという事業も少なくありません。

しかし、やはり人間的な健全な生活というものの基本は、日中に活動し、夜は眠るという当たり前のサイクルを守っていくということでしょう。

つまり、深夜に労働し、日中に睡眠をとるというのは、生活のリズムは乱れていると考えられ、その結果、体調を崩しやすくなることから、深夜労働は、原則としてはやはり通常勤務とは異なる待遇が必要となってきます。

そこで、労働基準法は、午後10時から翌午前5時までの労働のことを、通常の労働とは異なる「深夜労働」として扱い、通常労働とは異なる規定を設けているのです。

具体的にいえば、この深夜労働に対しては、基礎となる賃金を一定割合で乗じた金銭=割増賃金を支払わなければならないとされています。

これが、法律上の深夜割増賃金ということになります。

一般的には「深夜手当」などと呼ばれることがあります。

この深夜労働に対する割増賃金(深夜手当)の割増率は、労働基準法上、基礎賃金の1.25倍以上とされています(労働基準法37条4項)。

もちろん、上記の労働基準法所定の深夜手当以外に、使用者が就業規則などで法律の割増賃金とは違う割増手当を定めることも可能です。

ただし、労働基準法所定の割増率1.25倍を下回ることは許されません。

法定時間外に深夜労働をした場合

例えば、所定労働時間が午前9時から午後6時まで(休憩1時間・実働8時間)であるという場合に、午前9時から翌日の午前1時まで労働したとすると、午後6時以降の労働は法定時間外労働ということになりますが、さらに、そのうちの午後10時以降は深夜労働にも当たるということになります。

これらの場合に、割増賃金をどのように考えるかということが問題となってくるということですが、結論からいえば、単純に割増率をたしていくということになります。

つまり、時間外に深夜労働をした場合には、時間外労働の割増率(1.25倍)と深夜労働の割増率(1.25倍)をたして、基礎賃金の1.5倍の割増賃金を支払わなければならないということになります(労働基準法施行規則20条1項)。

上記の例で言うと、午後6時から午後10時までは基礎賃金の1.25倍で済みますが、午後10時から午前1時までについては基礎賃金の1.5倍の割増賃金を支払う必要があるということです。

なお、一定の大企業については、月に60時間を超える時間外労働の場合、その60時間を超える残業に対しては基礎賃金の1.5倍以上の残業代を支払う必要がありますが、この場合には、深夜労働をすると、基礎賃金の1.75倍(月60時間超残業代1.5倍と深夜手当1.25倍の合算)の割増賃金を支払わなければならないということになります。

法定休日に深夜労働をした場合

例えば、法定休日に出勤し、その法定休日に午後10時から翌午前5時までの間の深夜労働をしたという場合、休日労働であると同時に、深夜労働も行っているということになります。

これらの場合も、やはり、単純に割増率を足していくということになります。

つまり、法定休日に深夜労働をした場合には、休日労働の割増率(1.35倍)と深夜労働の割増率(1.25倍)を足して、基礎賃金の1.6倍の割増賃金を支払わなければならないということになります(労働基準法施行規則20条2項)。

上記の例で言うと、午後10時から午前5時までの間の労働については、基礎賃金の1.6倍以上の割増賃金を支払わなければならないということになります。

なお、労働基準法41条2号の管理監督者については、残業代や休日手当を支払う必要がないとされていますが、深夜手当については支払う必要があると解されています。

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