残業代の時効は2年

賃金債権の消滅時効期間

一般的な債権の時効期間は10年とされています。

しかし、残業代などの賃金債権の場合には、一般的な債権よりも消滅時効期間が短くされています。

これを「短期消滅時効」といいます。

残業代などの割増賃金を含む賃金の請求権は、その賃金請求権が発生した時から「2年」で消滅時効にかかるものとされています。

したがって、給料や残業代などの賃金については、所定の支払日から2年以内に支払いを請求しなければ消滅時効にかかってしまい、その後は原則としてそれを請求することができなくなってしまうので、注意が必要です。

ただし、消滅時効には、その期間の進行を止めるための方策として「時効の中断」という制度が設けられています。

したがって、未払い残業代などの賃金請求権の消滅時効を中断させることができれば、残業代等の消滅時効はいったんリセットされます。

そのため、未払い残業代等を請求する場合には、まずは、この消滅時効を中断させることが重要となってきます。

消滅時効中断の手続

実際に消滅時効を中断させるためには、「請求」「差押え、仮差押え、仮処分」「承認」という手続をとる必要があります。

「請求」とは、裁判上で請求することを意味します。

つまり、訴えを提起して訴訟で請求したり、労働審判を申立てて請求することを指します。

「差押え・仮差押え・仮処分」とは、要するに、残業代等の賃金について、強制執行や民事保全手続をすることを意味します。

これら「請求」等の法的な手続をとることによって、消滅時効は中断します。

また、使用者の側が残業代等の賃金未払いがあることを認めた場合には、「承認」したものとして、やはり消滅時効が中断します。

この承認には、単に未払いがあることを認めた場合だけでなく、未払い残業代等の支払いの猶予を求めたり、分割払いなどの和解を求めたりしたような場合も含むとされています。

未払い残業代などの賃金や退職金を請求する場合には、消滅時効が完成して請求ができなくなってしまうのを防ぐために、まずは、この消滅時効中断をしておく必要があることはいうまでもありません。

仮に消滅時効を中断させておく方法

前記のとおり、消滅時効を中断させるためには、裁判での請求や差押えなどの裁判手続をとるか、または、相手方と話し合って承認を得るということになります。

しかし、裁判手続を行うためには準備が必要ですし、話し合いといってもすぐにまとまるとは限りません。

したがって、裁判の準備や話し合いをしているうちに、次々と時効期間が進行していってしまい、どんどんと賃金請求権が消滅していってしまうおそれがあります。

そこで、時効中断制度には、簡易な手続で、仮に時効を中断させておくことができるというものが用意されています。

それが、「催告」です。

単純にいえば、裁判外で支払いを請求するということです。

この催告は、請求などの事由と異なり、完全な消滅時効中断事由ではありません。

あくまで仮のものであり、それだけでは消滅時効の中断事由とはならないのです。

しかし、「催告」をした後6か月以内に請求など上記の消滅時効中断事由の手続をとれば、完全な消滅時効中断の効果が発生するとされています。

例えば、あと1週間で残業代等の消滅時効が完成してしまうという場合に、とりあえず催告さえしておけば、少なくとも6か月はちゃんとした請求などの消滅時効中断措置をとる猶予が与えられるということです。

この「催告」を利用すれば、6か月は時効期間を仮に伸ばせるのですから、そのうちに、裁判準備や話し合いなどを進めていくことができるのです。

未払い残業代などの賃金請求をする場合には、まずにこの「催告」を行うというのが通常です。

上記のとおり、催告は裁判外で支払いを請求するということですから、法的にいえば、口頭で請求しても効果はあります。

しかし、口頭ですと、催告をしたという証拠が残りません。

後で催告があったかどうかが争われると、言った言わないの紛争になってしまいます。

そこで、この催告をする場合には、使用者に対して、配達証明付きの内容証明郵便によって請求書を郵送しておく方法によって行うのが通常です。

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