離婚に伴う財産分与はどのような財産が対象になるのか

財産分与とは、婚姻生活中に夫婦の協力によって得られた財産を、離婚時に清算することをいいます。

離婚の方法を問わず、法律で正当に認められた権利で、離婚原因の有無やその原因が夫婦のいずれにあるかなどとは無関係に、原則として公平に分与されます。

ただし、離婚原因を作った側の財産分与が慰謝料として差し引かれて、結果的に少なくなるケースはあります。

また、財産分与には、経済的に弱い立場の配偶者が離婚後の生活に困らないようにするという扶養目的も含まれています。

さらに、不法行為(不貞行為、悪意の遺棄、暴力などの有責行為)に対する慰謝料請求は財産分与とは別個の権利ですが、現実の財産分与の支払いは慰謝料と明確に区別せず、合算する場合もあります。

その意味で、財産分与は慰謝料の性格も持つこともあります。

財産分与の対象となる財産

共有財産

婚姻中に夫婦の共同名義で購入し共有している財産や、共同生活に必要な家具や家財などは夫婦の共有財産です。

また夫婦のどちらのものか判断できない財産は、共有財産と推定されています。

実質的共有財産

婚姻中に夫婦が協力して取得した財産で、名義が夫婦のどちらかになっている場合でも、その財産形成に他方の配偶者が貢献していれば、実質的には夫婦の共有の財産です。

具体例

名義が夫婦の一方になっていても、その財産の形成維持に夫婦双方が貢献している場合は、財産分与の対象です。

  1. 土地や住宅などの不動産
  2. 家具などの家財道具
  3. 自動車
  4. 銀行預金や、貯蓄性のある生命保険
  5. 株券、国債などの有価証券
  6. ゴルフ場などの高額な会員権
  7. 退職金(ただし、結婚前からの勤務期間分は対象から外されます。)
  8. 借金(家事に必要な生活費や家賃の支払いなど、夫婦が共同生活をしていく上で生じた借金は、夫婦共同の財産分与の対象です。しかし、夫婦の一方が自分のために個人的に借りた借金は対象にはなりません。)

財産分与の対象とはならない財産

特有財産

結婚前に夫婦各自が所有していた財産や、婚姻中に夫婦のいずれかが相続や贈与等で得た自己名義の財産については、「特有財産」として財産分与の対象にはなりません。

ただし、特有財産であったとしても、夫婦の一方が他方の特有財産の維持や増加に貢献していれば、寄与度の割合に応じて財産分与の対象とされる場合もあります。

また、夫が結婚前から所有していた不動産は、夫の「特有財産」ですが、婚姻中にその不動産の価値が上昇した場合、その上昇した価値分は「共有財産」となることもあります。

具体例

  1. 結婚前からそれぞれが有していた財産
  2. 婚姻中に相続した遺産
  3. 夫婦の一方が単独で使用している装飾品
  4. その他、夫婦の協力によって得た財産以外のもの

不動産の財産分与

財産分与で問題となるのは、ローンが残っている不動産です。

財産分与の対象となるのは、不動産の時価から分与時のローン残債を差し引いた残りの金額です。

例えば、不動産の時価が3000万円であるのに対し、ローンの残債が1000万円残っていた場合、3000万円から1000万円を差し引いた2000万円が財産分与の対象です。

不動産を売却してその代金を分与するのが理想的ですが、ローンが残っている不動産を売却する場合には債権者である金融機関の同意が必要です。

そこで、不動産を売却するのではなく、一方が不動産を譲り受ける代わりに相手方に金銭を支払って解決するケースが多いと考えられます。

この場合、不動産を譲り受ける側は登記名義を変更する必要があるケースもありますが、名義変更の登記費用をどちらが負担するかを決める必要があります。

財産分与の算定方法

財産の分与は、基本には夫婦の話し合いで取り決めます。

財産分与の算定基準は、夫婦が共有財産形成にどれだけ貢献したか、その寄与度によって割合を決めていきます。

具体的には、夫婦の年齢、婚姻年数、資産、職業、その他個別的な事情などにより財産分与の割合を決めていきます。

家事や育児なども財産形成に貢献したと判断されます。

財産分与の請求期間

離婚後に財産分与を請求する場合、消滅時効は離婚成立後から2年です(民法768条2項)。

その期間を過ぎると請求できません。

財産分与の税金

支払う側の税金

財産分与を金銭で支払う場合には、支払う側に対する税金はありません。

財産分与を不動産や株式などで行う場合には、支払う側に譲渡所得が発生したとみなされ、譲渡所得として所得税と住民税が課税されます。

不動産を財産分与する場合、まず税務署に譲渡所得税などの税額を確認しておくことが重要です(ただし、離婚後に居住用不動産を財産分与する場合には、譲渡所得の特別控除3000万円が適用されます)。

受け取る側の税金

財産分与を金銭で受け取る場合には、受け取る側に対する税金はありません。

財産分与を不動産で受け取った場合、通常不動産取得税はかかりません。

ただし、自分名義の財産にするためには、登録免許税など登記費用がかかります。

また、財産分与の金額が婚姻中に得た財産に対する寄与度やその他一切の事情を考慮しても多すぎると判断された場合には、贈与税が課せられることもあります。

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