裁量労働みなし労働時間制とは何か

裁量労働みなし労働時間制とは、一定の業務に就いている労働者について、通常の労働時間の規律を適用せず、あらかじめ定められている労働時間数、労働したものとみなすという制度です。

つまり、裁量労働時間制とは、その労働者が、現実に何時間労務を提供したかは考慮しないという制度です。

極端にいえば、1日10時間働こうと、逆に、1日1分しか働かなかったとしても、一定時間労働したものとみなすという制度なのです。

裁量労働みなし労働時間制の種類

この裁量労働みなし労働時間制(裁量労働制)には「専門業務型裁量労働制」と「企画業務型裁量労働制」という2つの種類があります。

専門業務型裁量労働制

専門業務型裁量労働制とは、業務の性質上その遂行の方法を大幅に当該業務に従事する労働者の裁量にゆだねる必要があるため、当該業務の遂行の手段及び時間配分の決定等に関し使用者が具体的な指示をすることが困難なものについて、その労働者の労働時間を、あらかじめ労使協定によって定められた労働時間であるとみなすという制度です。

専門的な業務については、使用者において労働時間を設定・管理することが容易ではありません。

そのため、一定の専門業務を行う労働者については、みなし労働時間制とすることが認められているのです。

もっとも、専門職であれば、どのような職種でも裁量労働制とすることができるというわけではなく、専門業務型裁量労働制の対象となる業務がどのような業務なのかは、厚生労働省令によって定められています。

  1. 新商品若しくは新技術の研究開発又は人文科学若しくは自然科学に関する研究の業務
  2. 情報処理システム(電子計算機を使用して行う情報処理を目的として複数の要素が組み合わされた体系であってプログラムの設計の基本となるものをいう。(7)において同じ。)の分析又は設計の業務
  3. 新聞若しくは出版の事業における記事の取材若しくは編集の業務又は放送法(昭和25年法律第132号)第2条第4号に規定する放送番組若しくは有線ラジオ放送業務の運用の規正に関する法律(昭和26年法律第135号)第2条に規定する有線ラジオ放送若しくは有線テレビジョン放送法(昭和47年法律第114号)第2条第1項に規定する有線テレビジョン放送の放送番組(以下「放送番組」と総称する。)の制作のための取材若しくは編集の業務
  4. 衣服、室内装飾、工業製品、広告等の新たなデザインの考案の業務
  5. 放送番組、映画等の制作の事業におけるプロデューサー又はディレクターの業務
  6. 広告、宣伝等における商品等の内容、特長等に係る文章の案の考案の業務(いわゆるコピーライターの業務)
  7. 事業運営において情報処理システムを活用するための問題点の把握又はそれを活用するための方法に関する考案若しくは助言の業務(いわゆるシステムコンサルタントの業務)
  8. 建築物内における照明器具、家具等の配置に関する考案、表現又は助言の業務(いわゆるインテリアコーディネーターの業務)
  9. ゲーム用ソフトウェアの創作の業務
  10. 有価証券市場における相場等の動向又は有価証券の価値等の分析、評価又はこれに基づく投資に関する助言の業務(いわゆる証券アナリストの業務)
  11. 金融工学等の知識を用いて行う金融商品の開発の業務
  12. 学校教育法(昭和22年法律第26号)に規定する大学における教授研究の業務(主として研究に従事するものに限る。)
  13. 公認会計士の業務
  14. 弁護士の業務
  15. 建築士(一級建築士、二級建築士及び木造建築士)の業務
  16. 不動産鑑定士の業務
  17. 弁理士の業務
  18. 税理士の業務
  19. 中小企業診断士の業務

企画業務型裁量労働制

企画業務型裁量労働制とは、事業の運営に関する事項についての企画、立案、調査及び分析の業務であって、当該業務の性質上これを適切に遂行するにはその遂行の方法を大幅に労働者の裁量にゆだねる必要があるため、当該業務の遂行の手段及び時間配分の決定等に関し使用者が具体的な指示をしないこととする業務について、その業務を行う労働者の労働時間を、あらかじめ定められた労働時間であるとみなすという制度です。

これは、企画、立案、調査、分析を行う事務系労働者について、みなし労働時間制を認めるという裁量労働制です。

もっとも、専門業務型の場合と同様、企画等の業務であれば、どのような労働者に対しても、裁量労働制とすることができるわけではありません。

企業の中枢部門における企画業務で、しかも、自ら業務遂行手段や時間配分を裁量で決定することができ、使用者からの具体的な指示や命令を受けないで業務ができるという労働者でなければ、対象にならないとされています。

裁量労働みなし労働時間制の効果

前記のとおり、裁量労働みなし労働時間制(裁量労働制)が適用されている場合、その対象となる労働者については、実労働時間にかかわらず、あらかじめ定められた労働時間数労働したものとしてみなされることになります。

専門業務型裁量労働制の場合であれば、あらかじめ労使協定によって定められた労働時間数に、企画業務型裁量労働制の場合であれば、労使委員会の決議によって定められた労働時間数に、それぞれみなされるということです。

例えば、労使協定等によってあらかじめ定められている労働時間が8時間であれば、たとえ実労働時間が10時間であっても、その労働者の労働した時間は8時間であったとみなされることになります。

この「みなす」というのは、「推定する」場合と異なります。

推定であれば反証があれば覆すことができますが、「みなす」場合には反証があっても覆すことができません。

つまり、実際の実労働時間は10時間であるということを証明したとしても、みなし労働時間が8時間であれば、労働時間数は8時間であったものとして扱われるということです。

なお、裁量労働制であるからといって、時間外労働・深夜労働・休日労働に対する割増賃金を支払わなくてもよくなるわけではありません。

例えば、労使協定等によって定められたみなし労働時間が1日10時間であるというのであれば、法定労働時間8時間を超える部分=2時間分は時間外労働になりますので、その2時間分の残業代は支払われなければなりません。

この場合、使用者側から、その対象労働者は実際には8時間未満しか働いていないといっても、みなし労働時間制ですので、10時間労働したものとみなされますので、やはり2時間残業したことになり、残業代を支払わなければなりません。

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