相続人の選択肢(単純承認・限定承認・相続放棄)

相続人は、相続開始の時から、被相続人に属した一切の権利義務を承継するといっても、相続の承認・放棄の意思表示がなされるか、または法定単純承認が生じるまでの間は、相続人への効果の帰属自体が不確定です。

民法は、相続するか否かにつき相続人に選択の自由を認めています。

具体的には、相続人に一定の期間(熟慮期間)を区切り、相続財産を負債を含めて全面的に承継するのか(単純承認)、逆に財産の承継を全面的に拒否するのか(相続放棄)、相続した資産の範囲内で債務などの責任を負うのか(限定承認)、いずれかを選択できるようにしています。

また、民法は、相続人が一定の期間内に選択をしなかったり、一定の態度をとったりした場合には、単純承認がされたものとみなしています(法定単純承認、民法921条)。

したがって、放棄や承認がされない間は、相続の効果は相続人に対する関係で確定的に帰属していません。

相続の承認を待ってはじめて、相続人に確定的に効果が帰属します。

単純承認(民法920条)

意義

相続人が、被相続人の一切の権利義務(一身専属的な権利を除く)を包括的に承継する制度です。

効果

被相続人に借金があれば、相続人は自己固有の財産で弁済しなければならなくなります。

限定承認(民法922条)

意義

相続した財産の範囲内で被相続人の債務を弁済し、余りがあれば、相続できるという制度です。

被相続人の財産は、限定承認者によって相続債権者に対する弁済に充てられます。

手続

限定承認する相続人は、自己のために相続が開始したことを知ったときから3カ月以内に、家庭裁判所にその旨の申述をしなければなりません(民法915条1項)。

相続人が数人いるときには、共同相続人の全員が共同で限定承認する場合のみ可能とされています(民法923条)。

効果

限定承認者は、相続財産、相続債務を承継します。

債務については、相続人に全額承継されますが、相続財産を限度とする物的有限責任を負います。

限定承認者は相続財産の限度を超えて弁済する必要はありません。

相続の放棄(民法938条)

意義

相続人が相続開始による包括承継の効果を全面的に拒否する意思表示です。

手続

放棄する相続人は、自己のために相続が開始したことを知ったときから3カ月以内に、家庭裁判所にその旨の申述をしなければなりません(民法915条1項)。

効果

放棄する相続人は、その相続に関しては最初から相続人にならなかったものと扱われます(民法939条)。

したがって、代襲相続原因になりません。

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