逮捕される?されない?-逮捕の種類と要件について

逮捕

ニュースなどを見ていると、同じ罪を犯しているのに逮捕されるケースもあれば逮捕されないケースもあります。

「なぜこの人は逮捕されないのか?」と不思議に思ったことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

今回は、どのような場合に逮捕されることになるのかについて解説してみたいと思います。 “逮捕される?されない?-逮捕の種類と要件について” の続きを読む

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名誉毀損に関する刑事上・民事上の問題点

テレビドラマを見ていると、よく「名誉毀損で訴えるぞ!」という場面が出てきます。

日常生活においても、「名誉毀損で訴えることはできないのか?」というご相談を受けることがあります。

一昔前であれば、新聞や雑誌の記事や、テレビのニュースやワイドショーなどでの発言などが名誉毀損にあたるのではないか、という程度の認識しかなかったかもしれません。

しかし、現代ではインターネットやSNSにおける書き込みが名誉毀損にあたるのではないかというように、身近な問題となってきています。 “名誉毀損に関する刑事上・民事上の問題点” の続きを読む

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保釈制度の概要と保釈金について

刑事事件を起こして逮捕・起訴された被告人が「保釈金〇〇〇万円を納付して保釈された」というニュースを目にしたことがある方も多くいらっしゃると思います。

その際、「そもそも保釈とは何か?」「どのような場合に保釈は認められるのか?」「保釈金の金額が人によって異なっているが、何を基準に決められているのか?」などの疑問を持った方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そこで、今回は保釈について解説したいと思います。 “保釈制度の概要と保釈金について” の続きを読む

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尿鑑定による覚せい剤成分の検出について

今年は元スポーツ選手や芸能人による薬物犯罪のニュースが多く報道されました。

その中で、「尿鑑定の結果、覚せい剤の成分が検出されました。」と報道されるのを耳にする機会が多いと思います。

覚せい剤の使用に関しては、一般的には被疑者の尿を鑑定し、その中に覚せい剤の成分が含まれていれば、一定期間内に覚せい剤を摂取したことがわかるとされています。

そのため、覚せい剤の使用が疑われる場合には、必ず尿の鑑定が行われています。

もっとも、覚せい剤使用の罪は故意犯であるとされています。

故意犯とは、簡単にいうと、自分の意思で罪を犯したケースをいいます。

覚せい剤使用の罪が故意犯であるというのは、自分の意思で覚せい剤を使用したケースということになります。

逆にいうと、自分の意思ではなく、うっかり体内に入ってしまったという過失犯の場合には犯罪は不成立となります。

被告人が故意に覚せい剤を使用したということは、刑事裁判の原則からすると、本来は検察官が立証する必要があります。

しかし、尿鑑定の結果、覚せい剤の成分が検出されたことにより一定期間内に覚せい剤を摂取したことがわかったにもかかわらず、それが故意に摂取したのか、うっかり体内に入ってしまったのかを明確にすることはかなり難しい問題です。

通常、覚せい剤の使用は一人で隠れて行われていることが多いため目撃者が存在することはほとんどありませんし、複数で使用していた場合でも共犯者ですので口裏を合わせることは容易です。

したがって、検察側の証人となれる人はほぼいないといえるでしょう。

そうすると、被告人が「自分の意思で覚せい剤を使用したのではない」という弁解をすると、検察側において、被告人が覚せい剤を故意に使用した事実を立証できなければ無罪ということになってしまいます。

しかし、このようなことが許されるようであれば、ほぼすべてのケースで、覚せい剤使用の罪を犯した者を処罰できなくなってしまいます。

この点について参考になるのが、東京高等裁判所平成19年2月28日判決です。

「覚せい剤は、法律上その取扱いが厳格に制限され、取扱資格者でない者は、その使用、所持及び譲渡が禁止され、その違反に対しては厳罰をもって取締りがなされている薬物であるため、一般の日常生活において、それが覚せい剤であると知らないうちに誤って体内に摂取されるというようなことは通常ではあり得ないことである。

したがって、被告人の尿中から覚せい剤が検出された場合には、他人が強制的に、あるいは被告人不知の間に、覚せい剤を被告人の体内に摂取させたなどの被告人が覚せい剤を使用したとはいえない特段の事情が存在しない限り、経験則上、被告人の尿中から覚せい剤が検出されたということのみで、被告人が、自らの意思に基づいて覚せい剤をそれと認識した上で摂取したものと推認するのが相当である。

 

この裁判例のように、実務では、尿検査の結果、体内から覚せい剤の成分が検出された者については、その使用に関する故意が事実上推定されています。

その結果、被告人や弁護人側が「他人が強制的に、あるいは被告人不知の間に、覚せい剤を被告人の体内に摂取させたなどの被告人が覚せい剤を使用したとはいえない特段の事情」を主張し立証する必要があります。

これはこれで非常に難しい問題であり、立証は困難を極めるといえるでしょう。

しかし、実際にこの立証が認められ、覚せい剤使用の罪で起訴された被告人の故意を否定し、無罪となったケースがあります。

それは、東京地方裁判所平成24年4月26日判決です。

この事案は、被告人と共に職務質問を受けた妻が任意に提出した尿の簡易鑑定の結果、覚せい剤の陽性反応が出たとして先に緊急逮捕されていました。

一方、被告人については簡易鑑定の結果は偽陽性であったものの、本鑑定で陽性反応が出た後に逮捕されたというものでした。

なぜこのようなことが起こってしまったかというと、実は、夫婦でホテルに滞在中に、妻が夜間に外出して覚せい剤を購入して使用し、残りの覚せい剤をホテルに持ち帰り、後で飲むつもりで缶入り飲料に混入していたところ、そのまま寝入ってしまったのですが、その覚せい剤入りの飲料を夫である被告人が飲んでしまった、ということだったのです。

弁護人の立証活動により、裁判所は特段の事情があるものとして、被告人に無罪を言い渡しました。

 

もっとも、このようなケースは非常にまれであると考えられます。

もし裁判所が特段の事情はないと判断していれば、この被告人は有罪となっており、ひょっとすれば執行猶予がつかずに実刑判決を受けていたかもしれません。

覚せい剤には手を出さない、近づかないということが、自分自身だけの問題ではなく、家族にも迷惑をかけなくてすむということをご理解いただければと思います。

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実刑と執行猶予の違い

テレビのニュースで「懲役○○年の実刑判決を受けました。」とか「懲役〇年、執行猶予〇年の有罪判決を受けました。」などという報道がなされています。

この「実刑」と「執行猶予」の違いについては、あまり詳しくはご存知でない方が多いようですので、説明したいと思います。

執行猶予とは

執行猶予というのは、刑事裁判の被告人が判決を受ける際、一定の期間中に、他の刑事事件を起こさないことを条件として、判決の執行を猶予する制度です。

例えば、「懲役2年・執行猶予4年の有罪判決」という場合、「とりあえず、すぐには刑務所に入らなくていいし、4年の間に他の事件を犯さなければ、懲役2年の刑もなかったことにしてあげよう。」ということを意味しています。

このような執行猶予の趣旨は、被告人を刑務所に収監するのではなく、社会内での更生を図るという点にあります。

簡単にいうと、「罪を犯したことについての責任は重い。しかし、二度と罪を犯さないのであれば、今回に限って許してあげよう。」ということです。

このような執行猶予がつかない有罪判決、つまり「今すぐに刑務所に入りなさい。」というのが「実刑判決」ということになります。

ただ、この「実刑」というのは法律用語ではありません。

執行猶予の期間

執行猶予の期間は、1年以上5年以下と決められています。

したがって、「執行猶予6年」という判決は存在しません。

執行猶予期間が長ければ長いほど、執行猶予付き判決の中では重い判決ということになります。

執行猶予が付される場合

どのような場合に執行猶予がつくかですが、執行猶予は「懲役3年以下もしくは50万円以下の罰金」の場合にしかつけることができません。

したがって、「懲役4年・執行猶予5年」という判決は存在しないことになります。

また、執行猶予を付けることができる被告人としても、

  1. 以前、禁固刑以上の刑に処せられたことのない人物(例えば、初犯や、前科があっても罰金刑のみだった場合)
  2. 以前、禁固刑以上の刑に処せられた人物でも、その刑の終了から5年以内に禁固刑以上の刑を受けてない人物(例えば、以前、禁固刑以上の判決を受けても刑の執行が終わり、その後5年間別の犯罪で禁固刑以上の判決を受けていない場合

には、執行猶予を付けることができます。

ただし、執行猶予はあくまでも裁判官の判断によりつけるかつけないかを決めるものであって、必ず執行猶予がつくというわけではありません。

したがって、初犯であり、懲役1年の刑に処せられる場合でも、執行猶予がつかずに実刑判決となることもあります。

執行猶予の取り消し

どのような行為を行ってしまうと執行猶予が取り消されてしまうかについては、まず、執行猶予中に禁固刑以上の刑を処せられてしまうと、情状の余地なく執行猶予が一発で取り消しになります。

また、執行猶予中に罰金刑を処せられてしまった場合でも、執行猶予が取り消されてしまう可能性があります。

執行猶予が取り消されてしまった場合には、判決で言い渡された刑罰が直ちに執行されることになります。

さらに、執行猶予が取り消される原因となった犯罪についても有罪判決を受けることになります。

例えば、「懲役2年・執行猶予3年」が言い渡されてた後、その執行猶予期間中に再び罪を犯してしまい、刑事裁判で新たに「懲役1年」の有罪判決を受けた場合、この「懲役1年」の刑罰と、以前に受けていた「懲役2年」の刑罰が合算されることにな、合計3年間刑務所に入ることになります。

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送検の際になぜスウェット・サンダルなのか

盆休みに帰省した際、母から

「容疑者が送検されているときにスウェットを着てサンダルを履いているのをテレビで見るけど、何か意味があるの?」

と尋ねられました。

刑事事件の被疑者を逮捕して警察署の留置場に入れた際、警察としては被疑者の自殺防止を図る必要があります。

その結果、ネクタイやベルトなどを身に着けることはできなくなります。

ちなみに、女性の場合にはストッキングも禁止されます。

ひも付きの服やファスナー付きの服も禁止されます。

そうなると、現実的にみて、スウェットのような服装しかないということになります。

また、警察は逮捕したときから48時間以内に検察官に送致する必要があるのですが(これを送検といいます)、この間に誰かが着替えを差し入れしてくれない限り、被疑者は着替えがないことになります。

テレビを見ていてお気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、スウェットを着ている人のほとんどがグレーのスウェットを着ています。

その理由は、逮捕された際に着替えの服を持参しておらず、ネクタイやベルトなどを没収され、同じ服をずっと着続けることもできないため、やむを得ず、警察に着替えを借りるしかなくなったから、ということになります。

なぜ警察が貸すスウェットがグレーなのかについてはわかりません。

次に、サンダルを履いている理由ですが、まず、自殺防止のためにひもがついている靴を履くことはできません。

また、サンダルを履いている状態だと走りにくいため、逃走の防止にもなります。

このような点を踏まえていただくと、これまでとは違った視点でニュースを見ることができると思います。

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