被相続人名義の預金が勝手に引き出されていた場合の対処方法

預金の引き出し

遺産相続に関するご相談を受けた際によくある問題として、「被相続人と同居していた相続人の1人が被相続人名義の預金を勝手に引き出して使い込んだ。」というものがあります。

この預金の使い込みの事実が発覚した場合、相続人間における感情的なもつれが激化してしまうため、遺産分割の解決が困難になることがあります。

今回は、被相続人名義の預金が勝手に引き出されていた場合の問題についてまとめてみたいと思います。 “被相続人名義の預金が勝手に引き出されていた場合の対処方法” の続きを読む

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共同相続人の1人が受取人とされる生命保険と特別受益

生命保険は相続財産に含まれるのか」で述べたとおり、生命保険金は相続財産には含まれません。

したがって、共同相続人の1人が生命保険の受取人になっていて、被相続人が死亡したことにより生命保険金を受け取ったとしても、被相続人が残した遺産を他の相続人と同様に相続することができます。

しかし、このような結論は、場合によっては共同相続人間の不公平を生じることになってしまいます。

そこで、共同相続人の1人が生命保険の受取人となっていた場合、特別受益があったものとして、共同相続人間の公平を図る必要があるのではないかという点が問題となります。 “共同相続人の1人が受取人とされる生命保険と特別受益” の続きを読む

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生命保険は相続財産に含まれるのか

相続財産に含まれるか否かが問題となるものとして、生命保険金があります。

生命保険は、特定の人の生死を保険事故として、その保険事故が発生した場合に、保険者が保険金受取人に対して、約定の一定金額を支払うことを約束し、保険契約者がこれに対して保険料を支払う契約です。

つまり、特定の人が死亡した場合に相続が発生するのと同時に生命保険会社からも生命保険金が支払われることとなりますが、ほとんどのケースで保険金の受取人は被相続人の法定相続人であることから、生命保険金を独り占めしていると考えられてしまいます。

その考えは、生命保険金も相続財産であるという考えに基づいています。

では実際に生命保険金は相続財産にあたるのでしょうか。 “生命保険は相続財産に含まれるのか” の続きを読む

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相続人には誰がなるのか

相続弁護士福岡

法定相続人

民法は、相続人の種類と範囲について、血族相続人と配偶者相続人とに画一的に定めています。

これを「法定相続人」といいます。

血族相続人

血族相続人には順位があります。

先順位にランクされる血族相続人が存在しないときに、はじめて後順位の血族相続人が相続人となります。

第1順位

第1順位の相続人は、被相続人の子もしくは、その代襲相続人である直系卑属です(民法887条1項・2項)。

子は、実子であるか養子であるかを問いません。

普通養子の場合には、養子となっても実方血族との親族関係は断絶しませんので、養親を相続できるほか、実親を相続できます。

胎児についても、相続の場合には、特別に生まれたものとみなして相続権を保障しています(民法886条1項)。

第2順位

第2順位の相続人は、被相続人の直系尊属です(民法889条1項1号)。

子及び直系卑属がないときに、はじめて相続資格を有することになります。

親等の異なる直系尊属の間では親等の近い者が相続資格を取得し、それ以外の直系尊属は相続資格を取得しません(民法88条1項1号但書)。

第3順位

第3順位の相続人は、被相続人の兄弟姉妹です(民法889条1項2号)。

父母双方を同じくする兄弟姉妹(全血の兄弟姉妹)か、一方しか同じくしない兄弟姉妹(半血の兄弟姉妹)かも問いません。

配偶者相続人

配偶者相続人は、常に相続人です(民法890条)。

配偶者は、法律上の配偶者でなければなりません。

内縁配偶者は、特別縁故者として財産分与を受けるにとどまります(民法958条の3)。

代襲相続

代襲相続とは、相続人となる者が相続開始以前に死亡したり、一定の事由(相続欠格、相続人の廃除)によって相続権を失ったりした場合、その相続人の直系卑属が、その相続人に代わって、その者の受けるべき相続分を相続すること(民法887条2項・889条2項)をいいます。

代襲原因

代襲原因は、相続開始前の死亡、相続欠格、相続人の廃除です(民法887条2項)。

ただし、相続放棄は含まれません(民法887条2項は、代襲原因として挙げていません)。

代襲相続人の要件

代襲相続人となるのは、被代襲者の直系卑属です。

すなわち、被相続人の子の子、または兄弟姉妹の子です(民法887条2項・889条2項)。

被相続人の子の子が代襲相続人となるためには、その子が被相続人の直系卑属でなければなりません(民法887条2項但書)。

再代襲

被相続人の子に代襲相続原因が発生すれば、被相続人の子の子、すなわち孫が代襲相続人になりますが、その孫に代襲相続原因が発生すれば、孫の子(ひ孫)が代襲相続人となります(民法887条3項)。

ただし、兄弟姉妹についての代襲相続の場合には、再代襲相続はできません。

代襲相続の効果

代襲者は、被代襲者の相続順位に従って、被代襲者の相続分を得ます(民法901条)。

複数の代襲相続人相互の相続分は平等です(民法900条4号)。

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必ず相続できるとは限らない-相続欠格と相続人の廃除

相続弁護士福岡

相続人となる一般的資格が民法で認められている者であっても、必ず相続人になれるというものではありません。

民法は、相続欠格および相続人の廃除という制度を設け、相続資格の剥奪を認めています。

相続欠格

意義

相続秩序を侵害する非行をした相続人の相続権を、法律上当然に剥奪する民事上の制裁です。

欠格事由

民法は5つの欠格事由を定めています(民法891条)。

  1. 故意に被相続人又は相続について先順位若しくは同順位にある者を死亡するに至らせ、又は至らせようとしたために、刑に処せられた者
  2. 被相続人の殺害されたことを知って、これを告発せず、又は告訴しなかった者。ただし、その者に是非の弁別がないとき、又は殺害者が自己の配偶者若しくは直系血族であったときは、この限りでない。
  3. 詐欺又は強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし、撤回し、取り消し、又は変更することを妨げた者
  4. 詐欺又は強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、撤回させ、取り消させ、又は変更させた者
  5. 相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者

実務で実際に問題となるのは5号の「相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者」が多いものと思われます。

効果

  1. 民法所定の欠格事由に該当すれば、当然に相続権を失います(民法891条)。被相続人がその者に遺贈をしていても、受遺者にはなれません。
  2. 欠格事由が相続開始前に発生した時はその時点から、欠格事由が相続開始後に発生した時は相続開始時にさかのぼって、相続資格喪失の効果が生じます。
  3. 欠格の効果は、特定の被相続人と欠格者との間で相対的に発生するものです。したがって、欠格者は、問題の被相続人以外の者の相続人になることができ、欠格者の子は代襲相続人となり得ます。欠格は、非行者自身への制裁にとどまります。

欠格事由の存否

相続人間で、特定の相続人の行為が欠格事由に該当するか否かが争いになった場合は、訴訟手続(相続権または相続分不存在確認訴訟)において、欠格事由の有無が判断されます。

これは相続人としての資格を争う紛争であり、遺産分割において前提問題として処理されることになります。

相続人の廃除

意義

遺留分を有する推定相続人(配偶者、子、直系尊属)に非行や被相続人に対する虐待・侮辱がある場合に、被相続人の意思に基づいてその相続人の相続資格を剥奪する制度です。

廃除事由

  1. 廃除対象者が被相続人に対する虐待もしくは重大な侮辱をした場合
  2. 著しい非行があった場合

廃除の方法

生前廃除(民法892条)

被相続人が生存中に家庭裁判所に審判を申し立てる制度です。

被相続人が自己の住所地の家庭裁判所に申し立て、審判による審理がされることになります。

遺言廃除(民法893条)

遺言の効力が生じた後に、遺言執行者が遅滞なく家庭裁判所に対し廃除の申し立てを行います。

効果

  1. 廃除による相続資格の喪失は、特定の被相続人と被廃除者との間で相対的に発生するものです。
  2. 生前廃除の効果は、審判の確定によって生じます。
  3. 遺言廃除の効果は、相続開始時にさかのぼって生じます。
  4. 被廃除者の子は代襲相続できます。

廃除事由の存否

廃除事由の存否は、推定相続人廃除を争う紛争であり、遺産分割において前提問題として処理されることになります。

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相続人の選択肢(単純承認・限定承認・相続放棄)

相続弁護士福岡

相続人は、相続開始の時から、被相続人に属した一切の権利義務を承継するといっても、相続の承認・放棄の意思表示がなされるか、または法定単純承認が生じるまでの間は、相続人への効果の帰属自体が不確定です。

民法は、相続するか否かにつき相続人に選択の自由を認めています。

具体的には、相続人に一定の期間(熟慮期間)を区切り、相続財産を負債を含めて全面的に承継するのか(単純承認)、逆に財産の承継を全面的に拒否するのか(相続放棄)、相続した資産の範囲内で債務などの責任を負うのか(限定承認)、いずれかを選択できるようにしています。

また、民法は、相続人が一定の期間内に選択をしなかったり、一定の態度をとったりした場合には、単純承認がされたものとみなしています(法定単純承認、民法921条)。

したがって、放棄や承認がされない間は、相続の効果は相続人に対する関係で確定的に帰属していません。

相続の承認を待ってはじめて、相続人に確定的に効果が帰属します。

単純承認(民法920条)

意義

相続人が、被相続人の一切の権利義務(一身専属的な権利を除く)を包括的に承継する制度です。

効果

被相続人に借金があれば、相続人は自己固有の財産で弁済しなければならなくなります。

限定承認(民法922条)

意義

相続した財産の範囲内で被相続人の債務を弁済し、余りがあれば、相続できるという制度です。

被相続人の財産は、限定承認者によって相続債権者に対する弁済に充てられます。

手続

限定承認する相続人は、自己のために相続が開始したことを知ったときから3カ月以内に、家庭裁判所にその旨の申述をしなければなりません(民法915条1項)。

相続人が数人いるときには、共同相続人の全員が共同で限定承認する場合のみ可能とされています(民法923条)。

効果

限定承認者は、相続財産、相続債務を承継します。

債務については、相続人に全額承継されますが、相続財産を限度とする物的有限責任を負います。

限定承認者は相続財産の限度を超えて弁済する必要はありません。

相続の放棄(民法938条)

意義

相続人が相続開始による包括承継の効果を全面的に拒否する意思表示です。

手続

放棄する相続人は、自己のために相続が開始したことを知ったときから3カ月以内に、家庭裁判所にその旨の申述をしなければなりません(民法915条1項)。

効果

放棄する相続人は、その相続に関しては最初から相続人にならなかったものと扱われます(民法939条)。

したがって、代襲相続原因になりません。

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相続分はどのようにして決まるのか

相続弁護士福岡

指定相続分

被相続人は、遺言で相続分を指定できます。

これを指定相続分といいます。

また、遺言で相続分の指定を第三者に委託させることができます(民法902条1項)。

割合的指定

相続分が割合的に指定される場合があります。

相続人全員の相続分を指定している場合と、一部の相続人の相続分を指定している場合があります。

一部の相続人の相続分を指定している場合には、他の共同法族人の相続分は、法定相続分によることになります(民法902条2項)。

特定遺産の指定

相続分の指定は、特定の遺産を特定の相続人に「相続させる」旨の遺言の中で、特定の遺産をあげたときに同時に行われていることがあります。

遺留分を侵害する相続分の指定

相続分の指定については、遺留分に関する規定に違反することはできません(民法902条1項但書)。

もっとも、このような相続分の指定も当然には無効ではなく、遺留分権利者の減殺請求により、侵害の限度で効力を失うものと解されています。

その結果、遺留分権利者及び被減殺相続人の全相続財産上に対する権利承継の割合が修正され、その修正された割合による遺産共有状態を生じます。

減殺請求権を行使した相続人については、指定に基づく自己の相続分に減殺請求により回復した分を加えた割合となり、減殺請求を受けた相続人については、自己の指定相続分から減殺請求により取り戻された分を控除した割合となります。

そのため、遺産分割手続によりこの共有関係を解消することになります。

法定相続分

被相続人による相続分の指定がない場合には、民法の定める相続分が適用されます(民法900条)。

法定相続分は、身分関係、相続放棄の有無、相続欠格事由の有無および相続人の廃除の審判の有無によって一義的に定まることになります。

配偶者相続人の法定相続分

配偶者は、常に相続人です(民法890条)。

配偶者の法定相続分については、相続人が

  1. 配偶者と子の場合 2分の1
  2. 配偶者と直系尊属の場合 3分の2
  3. 配偶者と兄弟姉妹の場合 4分の3

です。

血族相続人の法定相続分

第1順位の血族相続人・・・子

相続人が配偶者と子との組み合わせになった場合は、配偶者が2分の1、子のグループが2分の1です(民法900条1号)。

子が数人であれば同順位で、かつ、均等の相続分を有するのが原則です(民法900条4号本文)。

代襲資格を有する直系卑属が数人あるときには、この者たちは、被代襲者が受けるべきであった相続分について、民法900条4号の規定に従い相続分を有することになります(株分け、民法901条)。

第2順位の血族相続人・・・直系尊属

相続人が配偶者と直系尊属との組み合わせになった場合は、配偶者が3分の2、直系尊属のグループが3分の1です(民法900条2号)。

同順位の直系尊属がいる場合には、均等の相続分を有することになります(民法900条4号本文)。

第3順位の血族相続人・・・兄弟姉妹

相続人が配偶者と兄弟姉妹との組み合わせになった場合は、配偶者が4分の3、兄弟姉妹のグループが4分の1です(民法900条3号)。

兄弟姉妹が数人いる場合には、同順位で、かつ均等の相続分を有することになります(民法900条4号本文)。

半血兄弟姉妹(死亡した被相続人と親の一方を共通にするだけの者)と全血兄弟姉妹とがいる場合には、半血兄弟姉妹の法定相続分は、全血兄弟姉妹の半分です(民法900条4号但書)。

相続人間における法定相続分と異なる相続分の合意の効力

遺産分割は、基本的には相続人が本来任意に処分することを許された遺産に対する相続分を具体化するための手続であり、私的な財産紛争であることから、当事者間の合意によって法定相続分と異なる分割方法を定めても有効であると解されています。

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相続分の放棄とは何か

相続弁護士福岡

相続分の放棄とは共同相続人がその相続分を放棄することをいいます。

手続

相続分を放棄する相続人は、相続が開始してから遺産分割までの間であればいつでも可能であり、方式は問いません。

実務では、本人の意思であることを明確化するため、本人の署名と実印の押印、印鑑登録証明書の添付を求めるのが一般的です。

脱退届

遺産分割調停・審判では、当事者の地位の喪失について手続の明確性の観点から脱退届の提出を必要としています。

効果

  1. 相続分の放棄は、相続人としての地位を失うことはなく、相続債務についての負担義務を免れません。
  2. 相続分の放棄により他の相続人の相続分が変動します。
  3. ただし、不動産について法定相続分による相続登記がなされている場合で、調停条項または審判主文に遺産分割による移転登記手続も含めるときは、相続分放棄者が登記義務者となるため、脱退させずに当事者として形式的に関与させるか、脱退後、利害関係人として参加させる必要があります。

他の相続人の相続分の変動

実務では、共有持分権を放棄する意思表示と考え、相続分放棄者の相続分が他の相続人に対して相続分に応じて帰属すると解するのが有力です。

つまり、相続分放棄者以外の相続人の各相続分を合算した値を1とした場合の、各相続分の修正割合を新たな相続分とします。

具体的には、相続放棄者以外の相続人の各相続分の合計の逆数を、各相続分に乗じて求めます。

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相続分の譲渡とは何か

相続弁護士福岡

相続分の譲渡とは遺産全体に対する共同相続人の有する包括的持分又は法律上の地位を譲渡することをいいます。

積極財産と消極財産とを包含した遺産全体に対する譲渡人の割合的な持分(包括的持分)の移転をいうのであり、遺産を構成する個々の財産の共有持分権の移転をいうものではありません。

相続分の譲渡がなされるケース

第三者の遺産分割への関与

内縁の配偶者など本来相続人として扱ってもいい第三者に対し、相続分を譲渡することによって、第三者が遺産分割に関与できるようになります。

当事者の整理

多数当事者の事案において、相続分を譲渡することにより当事者を整理できます。

共同相続人の一人への譲渡

共同相続人の一人に対して行われる場合には、相続放棄や遺産分割に類似する機能が生まれることになります。

脱退の手続

実務においては、相続分譲渡証明書と印鑑証明書、脱退申出書を提出して手続きから脱退します。

相続分の譲渡契約書は、譲渡人から譲受人に交付され、それが裁判所に提出された後も、譲受人によって使用されることが前提となっています。

したがって、当該事件が取り下げで終わった後も、譲渡契約書は証拠として残ることになります。

効果

譲受人の地位

相続分の譲渡がなされた場合、譲受人は譲渡人が遺産の上に有する持分割合をそのまま承継取得し、遺産分割手続に関与できることになります。

譲受人は、譲渡を受けた割合的持分に相当する積極財産のみならず、債務を承継することになり、債権者との関係では債務引受の問題となります。

譲渡人の地位

譲渡人は、遺産分割手続から離脱しますが(脱退)、相続分の放棄の場合と同様、移転登記義務、占有移転義務などを負うときは脱退できず、形式的に当事者として残り、事実上、利害関係人として参加することになります。

共同相続人以外の第三者への相続分の譲渡

共同相続人名義の不動産について、共同相続人以外の第三者が共同相続人のうちの一人から相続分の譲渡を受けた場合に、譲渡を受けた者の名義にするには、相続を原因とする共同相続人への所有権の移転の登記を経たうえで、相続分の譲渡による持分の移転登記を順次申請するのが相当であるとされています。

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相続財産とは何か

相続財産の範囲

相続が開始すると、被相続人の財産に属した一切の権利義務は、原則として、相続人がすべて承継します(包括承継、民法896条)。

「一切の権利義務」とは、個別の動産・不動産などの権利、債権・債務、財産法上の法律関係ないし法的地位、例えば、申し込みを受けた地位、売主として担保責任を負う地位、善意者・悪意者などの地位なども含まれます。

相続財産に属さない財産・権利

一身専属権

被相続人の財産の中には、相続人に承継されないものもあります(帰属上の一身専属権、民法896条但書)。

明文の規定があるもの

代理権(民法111条1項)、使用貸借における借主の地位(民法599条)、雇用契約上の地位(民法625条)、組合員の地位(民法679条)

明文の規定はないが、異論のないもの

扶養請求権、財産分与請求権、生活保護法に基づく保護受給権

ただし、一定額の給付請求権として具体化していた場合(例えば、扶養料や財産分与について一定の給付を定める調停が成立していたり、審判が確定している場合など)は、一身専属権が消滅して、相続可能です。

祭祀財産

先祖祭具は、祖先の祭祀の主宰者に帰属します(民法897条)。

遺骨

慣習上の祭祀主催者に帰属します。

香典の扱い

香典は、死者への弔意、遺族のなぐさめ、葬儀費用など遺族の経済的負担の軽減などを目的とする、祭祀主宰者や遺族への贈与と考えられるため、相続財産には含まれません。

債務の相続

債務の承継

債務は、一身専属ではないものは、履行期に達しているか否かを問わず、相続の対象です。

例えば、連帯債務や通常の保証債務・連帯保証債務がこれに当たります。

最高裁昭和34年6月19日判決

「連帯債務者の一人が死亡した場合においても、その相続人らは、被相続人の債務の分割されたものを承継し、各自その承継した範囲において、本来の債務者とともに連帯債務者となると解するのが相当である。」

ただし、身元保証や信用保証(根保証、継続的な取引から生じる債務を包括的に保証するもの)については、判例はその相続性を否定しています。

最高裁昭和37年11月9日判決

「継続的取引について将来負担することあるべき債務についてした責任の限度額ならびに期間について定めのない連 帯保証契約においては、特定の債務についてした通常の連帯保証の場合と異り、その責任の及ぶ範囲が極めて広汎となり、一に契約締結の当事者の人的信用関係を基礎とするものであるから、かかる保証人たる地位は、特段の事由のないかぎり、当事者その人と終始するものであつて、連帯保証人の死亡後生じた主債務については、 その相続人においてこれが保証債務を承継負担するものではないと解するを相当と する。」

相続の割合

金銭債務は、相続により当然に各相続人に法定相続分で承継されます。

相続債務が連帯債務の場合にも、法律上当然に分割され、各共同相続人は、その相続分に応じて債務を承継し、その承継した範囲内で本来の債務者とともに連帯債務者となります。

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