振り込め詐欺の被害を防ぐ方法

特殊詐欺(いわゆる振り込め詐欺)事件の弁護人を担当することになりました。

もっとも、弁護士としての守秘義務があることから、事件の内容について公表することはできません。

ただ、刑事事件を担当することにより、そこから学ぶこともあります。

それは「同じような被害に遭わないようにするためにはどうすればよいのか」ということです。

いわゆる振り込め詐欺の被害に遭わないように、またご両親に被害に遭わせないようにするためにはどうしたらよいのか、私自身が実践している方法をご紹介いたします。

声だけで判断するのは危険

まず、振り込め詐欺についてですが、皆様もニュースなどでご存知のとおり、子供を装って電話をかけ、「お金に困っている」、「至急お金を準備する必要がある」などといって金銭を要求し、銀行口座に送金させたり、「受け子」と呼ばれる人に直接現金を受け取らせたりするものです。

このような振り込め詐欺に関しては、私の知る限り、被害に遭われた方々は振り込め詐欺が横行していることをご存知ですし、自分自身が被害に遭わないように日ごろから気をつけておられることも共通しています。

しかし、被害に遭われた方々は「まさか自分がこのような被害に遭うとは思ってもいなかった」とおっしゃいます。

自分の子供が電話をかけてきて、慌てた様子でお金に困っていることを告げられると、親としてどうにかしてあげないといけないと思ってしまうため、「これは詐欺ではないか」ということがとっさには頭に浮かばないのです。

もちろん、電話の声を聞いて「これは自分の子供ではない」と判断できた場合には、「これは詐欺だ」と気づくでしょう。

しかし、この点についても、例えば「風邪をひいている」とか「電波が悪い」とかいって声色をごまかすケースもあります。

つまり、声だけでは判断できないケースも存在するということなのです。

私が実践している方法

では、どのように対処すればよいのかですが、私が実践しているのは、電話をかけた際、第一声は必ず同じ言葉をいいます。

それも「もしもし」とか「俺だけど」などという、ありふれた言葉ではありません。

一言、「〇〇」といいます。

私が生まれたときから現在に至るまで、両親から呼ばれ続けてきた呼び方である「〇〇」とだけいうのです。

しかも、この言葉を発する際の声の力やイントネーションは常に同じ言い方をしています。

そうすることで、電話を受けた親は「ああ、お前か。」となります。

つまり、今流行りの「ルーティン」を親子間で作ってしまうのです。

子供が親に対して電話をかけた際の第一声が常に同じであれば、第三者が子供になりすまして電話をかけてきたとしても、それがいつもと違うために「ん?いつもの電話のかけ方と違う。」と気づきます。

そのことで不信感を持ってもらえれば、電話の内容を疑ってかかるため、冷静に判断することができますので、振り込め詐欺の被害に遭う可能性が一段と下がります。


平成29年4月19日追記

昨日(4月18日)の夜、私の実家に私を騙る男性から電話がかかってきたそうです。

その顛末を母から報告を受けましたので、その様子を報告したいと思います。

電話に出た母に対し、その男性は「俺だけど。」と言ったそうです。

しかし、母は「ん?誰ね?」と聞き返したそうですが、その時点で私ではないと思ったそうです。

その理由は、私が電話をかけた場合には必ず「〇〇」と言うのに、その電話の主は言わなかったからだそうです。

聞き返した母に対し、その男性は咳き込みながら何かを言ったそうですが、明らかに風邪を引いた様子を演出していたそうです。

この時点で母は「これは詐欺だな。」と確信したそうです。

見破った母は、おもしろがって相手をしたそうです。

その様子ですが、

母「なんね、あんた風邪ひいとうと?」(絶対に私に対しての呼び方である「〇〇」とは言わないようにしたそうです)

男「うん、ちょっとね。まぁ病院に行って注射してもらえば治るやろうけどね。」

母「あんた、子供のころから病院に行ったことないし注射もしてもらったことなかろうもん。」

男「・・・。今日、会社から電話かかってきた?」

母「いいや、ないよ。」(「会社」じゃなくて「事務所」やろうもん、と思ったそうです)

男「それはよかった。びっくりさせたらいかんと思って先に連絡せなと思って電話したとよ。」

母「なんかあったとね?」

男「実は、会社でやらかして、弁償せないかんとよ。」

母「何をしたとね?」(このあたりから吹き出しそうになったそうです。)

男「あんまり詳しくはいえんのやけど、同僚の山田とちょっとあってね。」(ちなみに、うちの事務所には「山田」なる人物はいません。)

母「それで、なんで会社から私に電話があると?」

男「緊急連絡先にしとうけんよ。」

母「嫁さんじゃなくてね?」

男「うん、まぁ。・・・たぶん明日会社から電話があると思うけん、電話に出てね。」

母「良かよ。で、どのくらいいるとね。」

男「○○○万円くらいかな。」

母「あんた、そのくらい持っとろうもん。」(爆笑しながら答えたそうです。)

男「・・・じゃあ、明日よろしくね。」

以上がことの顛末のようです。

その男性の電話のかけ方がいつもの私とは違っているということだけで、母はその男性が振り込め詐欺の加害者であることを見抜いたそうです。

つまり、私が実践していた方法が効果的であるということが実証されました。

最後に

両親を振り込め詐欺から守ることができるのは子供自身だと思います。

両親の自覚にまかせるのではなく、子供の方から積極的にコミュニケーションを図っておくことが大事なのだと思います。

ぜひ両親との電話に関する独自の「ルーティン」を作っていただいて、振り込め詐欺の被害に遭わないようにしていただければと思います。

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