自動車保険の「弁護士費用特約」は必要か

皆さんは、自動車保険(任意保険)に加入する際、「弁護士費用特約」をつけていらっしゃるでしょうか。

弁護士費用特約というのは、交通事故の被害に遭った際の損害賠償請求について、弁護士に対する相談料や、示談交渉や訴訟を弁護士に依頼した場合の着手金・報酬金、実費等の費用を任意保険会社が支払ってくれるというものです。

この「弁護士費用特約」について、交通事故の被害者からご相談を受ける際に確認するのですが、年々増加傾向にはあるものの、割合としてはまだまだ少ないのではないかと思われます。

弁護士(少なくとも私)の立場からいわせていただくと、この弁護士費用特約を利用できることをお聞きした時点で、ほっとします。

交通事故の損害賠償請求に関する示談交渉や訴訟のご依頼を受ける際の弁護士費用(着手金・報酬)については、被害者が請求する金額や実際に受領した損害賠償金の金額が算定の根拠となります。

そして、その費用の決め方(基準)については、弁護士によって異なりますので、一概にはいえません。

交通事故の場合、ほとんどのケースでは加害者側が任意保険に加入していて、その保険会社から損害賠償金が支払われますので、弁護士費用についてはその損害賠償金からお支払いいただくことになります。

このときに、あくまでも「ビジネス」として考えた場合、弁護士費用については「交通事故被害者との委任契約に基づいて請求するのだから、契約どおりに支払っていただく」ということになります。

そして、大半の弁護士がこのように考えて、いわば当然に弁護士費用を支払ってもらっていることでしょう。

 

しかし、被害者の方によっては、重い後遺障害が残ったり、痛みやしびれなどに悩まされている方もいらっしゃいます。

一人で複数のお子さんを育てるなど日常の生活面でも苦労されている方もいらっしゃいます。

大事なご家族を亡くされた悲しみから立ち直れないご遺族もいらっしゃいます。

そのような方々から当たり前に弁護士費用を計算してお支払いいただくということがどうしても気が引けるケースもあります。

それに現在の消費税率は年8%ですので、この分もご負担いただくとなると、せっかく受領した損害賠償金がどんどん目減りしていくことになります。

そうなると、被害者やご遺族に対してどうしても情が出てしまい、「この金額で結構ですよ。」とつい言ってしまいます。

そのことで被害者の方には少しでも多く残すことができるのですが、弁護士(私)の懐具合は厳しくなってしまいます。

 

ところが、弁護士費用特約を付けているという場合には、事情が変わります。

弁護士費用特約を付けている場合には、一般的に弁護士費用(着手金・報酬等)は300万円まで補償されています。

つまり、弁護士費用を算定した際に、着手金・報酬等の合計額が300万円に満たない場合には、被害者が受領する損害賠償金は全額被害者の手元に残すことができます。

そうすると、弁護士(私)としては、特に遠慮することなく弁護士費用を保険会社に請求することが可能になるわけで、大変ありがたいといえます。

 

よって、「自動車保険に弁護士費用特約は必要か?」

との問いに対する私の個人的な回答としては

「ぜひ、弁護士費用特約を付けてください。」

という回答になります。

なお、私は損保会社の顧問弁護士でも回し者でもありません。

弁護士費用特約について宣伝しても損保会社からは1円ももらえません。

 

ちなみに、私自身も弁護士費用特約を付けています。

以前、このことについて依頼者の方と話をした際、

「先生は弁護士なんだから、弁護士費用特約なんて必要ないでしょ?だって自分で交渉すればいいんだから。」

と言われたことがありました。

それに対し、私はこのように答えました。

「たしかに私自身が交渉することができるのであれば、弁護士費用特約は必要ないでしょう。でも、もし私が交通事故で死亡したり寝たきりになったりした場合には、私以外の弁護士が必要になることがあります。そのときのことを考えると、たとえ300万円であっても補償されるのであれば、それだけ家族のために多くのお金を残してあげることができます。だから、弁護士費用特約を付けています。」

 

起きなければ問題はありませんが、起きたときのための備えは必要、それが「保険」です。

弁護士費用特約について、今一度ご確認・ご検討いただければと思います。

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